イベント・セミナー・講演会
大岡山キャンパス 本館1階 H117講義室
衛星軌道からでなければ観測することのできない300 nmより短波長の光は、その短い吸収長のために検出がきわめて困難である。例えば、可視光に用いられる市販のCMOSやCCDでは、表面のマイクロレンズによって入射光子が吸収されてしまう上、ウェハ表面の電極構造が邪魔になりほとんど検出することができない。そこで用いられるのが裏面照射型のCCDやCMOSセンサであるが、紫外線の吸収長はおよそ数ミクロンほどしかなく、受光面のシリコン酸化皮膜によって生じる電子トラップに一次電子が捕まってしまうため、効率よく電荷を回収することが困難であった。この問題に対処するため、ハッブル宇宙望遠鏡では、CCDに予め光を照射して光電子でトラップを埋めてから本露光を行うといった工夫もなされている。
本談話会ではNikzad氏らが開発した「デルタドーピング」という手法について紹介する。この手法では、原子レベルの厚みしかない極薄のポテンシャル障壁を受光面直下に作ることで、電荷回収効率を向上し、これによって紫外線に対する量子効率を飛躍的に向上するというものである。また、この技術に関連した医療応用への取り組みについても紹介する。
更新日:2017.05.30