イベント・セミナー・講演会

場の量子論に基づいた相対論的流体力学の定式化

  • RSS

日程
2017年5月2日(火)
時間
14:00 - 15:30
場所
大岡山キャンパス別窓 本館2階 H284B 物理学系輪講室
講師
本郷優氏(理化学研究所)
お問い合わせ先
連絡教員:物理学系 西田祐介(内線3614)

量子物理学・ナノサイエンス第183回セミナー

概要

流体力学は系の長波長・長周期のダイナミクスを記述する低エネルギー有効理論である。相対論的流体力学の基礎方程式は、散逸を無視した完全流体に関するオイラー方程式(0次の流体方程式)、散逸を考慮したナビエ・ストークス方程式(1次の流体方程式)のように、現象論的には古くから知られており、重イオン衝突実験で生成されたクォーク・グルーオン・プラズマの記述などに広く用いられている。

しかし、ミクロな理論、つまり場の量子論に基づいたその基礎づけの理解はまだ不完全な段階にあった。近年になってカイラル磁気効果(Chiral Magnetic Effect)などの量子異常に起因した新奇な輸送現象の存在が指摘された[1]のはその不完全さの一例を示している。

本セミナーでは非平衡統計力学の方法の基礎を概観した上で、その方法を場の量子論に適用して相対論的なナビエ・ストークス方程式を導出した研究を紹介する[2][3]。また時間が許せばその枠組みの中で、カイラル磁気効果のような非散逸性の輸送現象がどのように記述されるかについても簡単に説明する。

  • [1] D. T. Son, P. Surowka, Phys. Rev. Lett. 103, 191601 (2009)
  • [2] T. Hayata, Y. Hidaka, M. Hongo, T. Noumi, Phys. Rev. D 92, 065008 (2015)
  • [3] M. Hongo [arXiv:1611.07074[hep-th]] to be published in Ann. Phys.
  • ナノサイエンス・量子物理学国際研究センター 主催
  • 東京工業大学理学院・物理学系、「ナノサイエンスを拓く量子物理学拠点」共催

更新日:2017.04.24

  • RSS

ページのトップへ

CLOSE

※ 東工大の教育に関連するWebサイトの構成です。

CLOSE