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Uplift Modelingによる介入効果の最適化を実現

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2019.07.11

概要

ソネット・メディア・ネットワークス株式会社(以下、SMN)の研究開発組織「a.i lab.」(アイラボ)は、東京工業大学工学院 経営工学系の中田和秀准教授の研究室との共同研究により、ユーザーへの介入効果を最適化するUplift Modeling手法を開発しました。

Uplift Modelingは、広告配信や投薬などのユーザーへの介入と、購買行動や予後といった結果との「因果関係」を明らかにするための研究分野です。介入による純Lift効果を予測することができれば、事前にユーザーごとに介入の純効果を見積もった上で、効率の良い介入戦略を立てることが可能となります。SMNが事業として展開する広告配信プラットフォームにおいては、広告によって購入しやすさが向上する度合いの高いユーザーのみにターゲティング配信することでROI(投資利益率)を最大化できると期待されています。

Uplift Modeling概念図

Uplift Modeling概念図

研究の背景

従来のUplift Modelingでは、広告配信を実施する集団と、広告配信を実施しない集団に、ユーザーをランダム分けた上で、それぞれの広告効果を比較するA/Bテストを行う必要がありました。従来の広告クリエイティブ(画像)などの効果比較を行うA/Bテストとは異なり、ランダムな広告配信によるA/Bテストでは、対象ユーザーへ興味のない広告配信を行うなどの必要が発生します。

この従来手法では、無駄な広告配信によるユーザー体験の悪化や、興味のある広告に触れられない機会損失が生じるため、現実的に適用は困難でした。そこで、A/Bテストを行うことなく高い精度でLift効果を予測する本手法の研究に取り組みました。

研究の内容

A/Bテストが不要なUplift Modelingの手法としては、Transformed Outcomeが知られていますが、現実的な仮定の下ではこの手法が正しいLift効果を推定できないことを示し、その欠点を解消する新たな手法であるSDRM(Switch Doubly Robust Method)とSDR-MSE(Switch Doubly Robust - Mean Squared Error)(以下、SDR-UM)を提案しました。この手法を心臓カテーテルによる生存率への影響を調査した公開データに適用したところ、治療によって生存率が高くなる患者集団を特定することに成功しました。

※ 公開データ

掲載誌 : JAMA (J American Medical Association) 276:889-897
データ提供論文 : The effectiveness of right heart catheterization in the initial care of critically ill patients.
著者 : Connors AF Jr (Department of Medicine, Case Western Reserve University at MetroHealth Medical Center, Cleveland, Ohio, USA.)

Real-World Experiment

重症と診断された右心房へのカテーテル治療を行った患者の予後の生存有無が記録されている公開データセットを用いて、今回提案した手法(SDR-UM)を既存の手法と比較しました。このデータセットには、集中治療室で診断後1日以内に右心房カテーテルの治療を受けた5,735人の患者が含まれています。元々のデータセットにおいては右心房カテーテル治療を施すことによって、患者全体における平均的な生存率が減少することが知られていました。しかし、私たちが提案したUplift modelingの手法を用いることで、右心房カテーテル治療を施すことにより生存率を向上させることができる一部(20%)の患者を特定することに成功しました。これにより、右心房カテーテルの実施を個別化することができれば、全体の患者の生存率の向上に繋がると考えられます。

今後の展開

Lift効果の高いユーザーに対して、広告配信を行うことでROIを最適化するだけでなく、当該ユーザーをSMNが提供するマーケティングAIプラットフォーム「VALIS-Cockpit」(ヴァリス-コックピット)によって可視化しInsightを抽出することで、より幅広いマーケティング施策への利用を想定しております。また、本論文で医療データに対する有効性を示したように、さまざまな分野で幅広く活用できると考えております。

本共著論文(Uplift Modelingによる介入効果の最適化)は、カナダ・カルガリーで開催された「SIAM International Conference on Data Mining」(SDM19:開催期間5月2日~4日)にて発表(現地時間5月3日)を行いました。

論文情報

学会名 : SIAM International Conference on Data Mining(SDM19)
論文タイトル : Doubly Robust Prediction and Evaluation Methods Improve Uplift Modeling for Observational Data
著者 : Yuto Saito,Hayato Sakata,Kazuhide Nakata
DOI : 10.1137/1.9781611975673.53別窓

参考情報【「a.i lab.」(アイラボ)概要】

「a.i lab.」(Ambitious Innovation Laboratory)は、独自に開発したAI「VALIS-Engine」(ヴァリス-エンジン)をはじめ、マーケティングテクノロジーに関する先進的な研究開発を行っています。「VALIS-Engine」のテクノロジーを商品やサービスに導入することで、「貰って嬉しい広告」「機会損失の最小化」の実現を目指す研究開発組織です。

ソネット・メディア・ネットワークス 会社概要

2000年3月に設立。ソニーグループで培った技術力をベースに、マーケティングテクノロジー事業を展開しています。「技術力による、顧客のマーケティング課題の解決」を実現するため、ビッグデータ処理と人工知能のテクノロジーを連携し進化を続けています。 現在、DSP「Logicad」、マーケティングAIプラットフォーム「VALIS-Cockpit」などを提供することで、マーケティングに関する様々な課題解決を実現しています。

記載されている会社名および商品名、サービス名は各社の商標または登録商標です。

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お問い合わせ先

ソネット・メディア・ネットワークス株式会社

経営企画管理部 経営企画課

E-mail : pr@so-netmedia.jp
Tel : 03-5435-7944 / Fax : 03-5435-7944

東京工業大学 工学院 経営工学系

准教授 中田和秀

E-mail : nakata.k.ac@m.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3321 / Fax : 03-5734-3321

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