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2025年10月25日、26日に龍谷大学深草キャンパスで開催された日本財政学会第82回大会において、森田裕史准教授が若手研究奨励賞を受賞しました。

森田裕史准教授(右)と日本財政学会赤井伸郎代表理事・会長(左)
若手研究者奨励賞は、優れた研究業績を有する若手会員を称えることで、その成果を学会内外に広く周知し、今後のさらなる研究の発展を応援することを目的として設立されたものです。授賞対象となるのは、授賞年度の前年12月31日時点で博士課程(博士後期課程)を開始してから15年以内の会員であり、産前・産後の休暇や育児休業に該当する期間については、この年数には含めない扱いとなっています。
森田裕史氏は、国の財政活動とマクロ経済の関係を分析し、2014年に一橋大学で博士(経済学)を取得した。Journal of Macroeconomics、Economic Modelling、Japan and the World Economy 等に掲載された論文群では、日本経済に対する外部ショックや財政ショックがマクロ経済や財政の持続性に与える影響を、Sign Restrictionを課した構造VAR等の時系列モデルを用いて数量的に解明している。特筆すべきは非線形時系列分析に関する造詣の深さであり、マルコフスイッチングモデルを応用して経済状態別の政策効果の差異を明らかにするなど、その分析手法の精緻さと先進性は目を見張るものがある。また Journal of the Japanese and International Economies に掲載された論文では、日米のマネタリーベース差と為替レートの長期的関係(いわゆるソロス・チャート)を理論モデルとベイズ推定により検証している。このように、森田氏の一連の研究は、日本財政分析のみならず、日本経済全体の構造や政策効果の理解にも新たな視座を提供しており、森田氏は、若手研究者奨励賞を授与されるにふさわしい研究者であると評価される。