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化学系の 谷口 耕治 教授らのグループが化学結合なしで電気的に半導体をキラル化することに成功

「電気的キラリティ制御」という新パラダイムを開く

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2026.01.13

(左)電気二重層トランジスタを利用したキラル分子カチオン吸着制御の概念図。(右)シート抵抗(電気抵抗)の温度依存性。VGはゲート電圧。

(左)電気二重層トランジスタを利用したキラル分子カチオン吸着制御の概念図。(右)シート抵抗(電気抵抗)の温度依存性。VGはゲート電圧。

概要

東京科学大学(Science Tokyo) 理学院 化学系の谷口耕治教授、黄柏融(コウ・ヴォロン)助教、安藤吉勇准教授らの研究チームは、東京大学 物性研究所の井手上敏也准教授、田中未羽子助教、西尾祐希人大学院生(修士課程)の研究チームと共同で、キラルな分子イオンを電場の力で半導体表面に吸着させることにより、化学結合を伴わずに半導体界面の電子状態にキラリティを誘起することに成功しました。

「右手」と「左手」の性質にあたる「キラリティ」は、化学・物理学・生物学の多様な現象を支える基本概念です。これまで、アキラル(非キラル)な物質にキラリティを付与する場合には、キラルな官能基や有機配位子を分子や金属に共有結合などの化学結合を介して導入する手法が一般的でした。しかしこの手法の場合、いったん物質を合成するとキラリティを制御することは困難です。そのため近年では、強い化学結合を介さないキラリティ制御法が関心を集めています。

本研究では、キラル分子からなるイオン液体(キラルイオン液体)を組み込んだ電気二重層トランジスタを構築し、電場を印加してキラル分子をアキラルな半導体MoS₂の表面に吸着させることで、電気伝導性を持つ界面を形成しました。この半導体上に形成された電気伝導性界面において、キラリティ誘起スピン選択性(CISS)や磁気キラル効果といったキラリティに依存する電気伝導特性を調べたところ、キラルな電子状態が誘起されていることが確認されました。

今回開発した手法では、化学結合を介さずに、電気的にキラル分子の吸着・脱離を可逆的に制御することが可能です。今回の研究成果は、電気的キラリティ制御という新しいパラダイムを開く重要な一歩として期待されます。

本成果は、11月21日付(米国東部時間14時)の「Science Advances」誌に掲載されました。詳しくはScience Tokyoニュースをご覧ください。

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