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可視光で働く新しい光触媒を創出

常識を覆す複合アニオンの新材料を発見

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2018.05.28

東京工業大学 理学院 化学系の前田和彦准教授、石谷治教授、栗木亮大学院生・日本学術振興会特別研究員らは中央大学 理工学部の岡研吾助教と共同で、鉛とチタンからなる酸フッ化物[用語1]が可視光照射下で光触媒として機能することを発見した。
酸フッ化物が例外的に小さなバンドギャップ[用語2] を有していることから光触媒の可能性を検討して実現した。可視光照射下で、水からの水素生成や二酸化炭素(CO2)のギ酸[用語3]への還元的変換反応に対して活性となるため、幅広い分野での応用が期待される。
これまで、酸フッ化物はバンドギャップが大きく、可視光応答型光触媒として不向きと考えられていた。今回の前田准教授らの発見により、物質探索の対象にならなかった新たな材料群に、革新的光触媒機能を見い出せる可能性が見えてきた。
研究成果は2018年5月7日、アメリカ化学会誌「Journal of the American Chemical Society」オンライン版に掲載された。

用語説明・参考文献

[用語1] 酸フッ化物 : 同一化合物内にアニオン種として酸素とフッ素を含む無機化合物。

[用語2] バンドギャップ : 半導体において電子で占有されたバンドを価電子帯、空のバンドを伝導帯といい、価電子帯と伝導帯の幅の大きさをバンドギャップという。

[用語3] ギ酸 : 分子式HCOOHで表されるもっとも単純なカルボン酸。適当な触媒を用いれば、水素(H2)とCO2に分解できるため、貯蔵や輸送に困難をともなう水素のキャリア(エネルギーキャリア)として注目されている。

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