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経営工学系のメンバーに井上祐樹准教授が加わりました

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2025.01.15

井上祐樹先生が令和5年10月に経営工学系に着任されました。新任に際しての抱負などをご紹介します。

井上祐樹准教授

井上祐樹准教授

まずはご専門を教えてください。

私の専門は経営学で、その中でもイノベーションマネジメントと経営戦略の領域を中心に扱っています。特にプラットフォームを中心としたビジネスエコシステムを対象として、エコシステムの中で企業や人がどのようにイノベーションを生み出すことができるのか、そのメカニズムを明らかにすることを目指しています。GAFAMと呼ばれる企業群に代表されるように、プラットフォームビジネスとそれによって生まれるエコシステム、そしてそこから生まれるイノベーションは現在の世界経済で非常に重要な役割を果たしています。こういったビジネスにおける系全体の発展・衰退メカニズムの理解や、イノベーションが生まれるメカニズムの理解を目指して、データ分析やシミュレーションのアプローチを活用して研究を行っています。

先生の研究分野で今先生が最も重要な、あるいは面白いと思われているトピックがあったら教えてください。

私が現在注目して取り組んでいるトピックは、エコシステムにおける「カテゴリ」です。カテゴリとは一般用語では「ジャンル」とも呼ばれますが、消費者が対象を判断する指標として機能すると同時に、企業が価値を生む基盤としても機能します。カテゴリは様々な特性を持つ可能性があり、そしてその特性は企業がイノベーションを生み出すことに寄与する場合もあれば、逆に阻害する場合もあります。そのためエコシステムの中でどのようなカテゴリが生まれるか、どのようなカテゴリを生むべきかというのは、エコシステムの価値を左右する重要な観点になります。またカテゴリは、エコシステムの中心となる企業が戦略的に新しく生み出したり、あるいはその意味が変わるように働きかけたりすることもできます。そういった中心的企業のカテゴリへのマネジメントがエコシステムにどのように影響するかも、研究における重要な視点の一つです。

先生の研究室で研究に取り組む学生にどのようなことを期待していますか?

理系大学で経営学系の研究室を開くということで、私の研究室には(特に大学院では)理系・文系両方のバックグラウンドを持った学生が所属することを想定しています。それぞれの学生に期待することを以下に記載します。

理系のバックグラウンドから所属する学生に対しては、これまで培ってきた理数系の能力を活かしつつさらに伸ばしていくことを期待しています。同時に、数理・統計的手法に振り回されないような心掛けも必要です。文系の書籍や論文にも手を伸ばし、新たな視点を獲得して行きつつ、理系的観点から研究課題をこなすことを期待しています。

文系のバックグラウンドから所属する学生においては、大学受験を終えて、数学から離れてしまったという人も多いかもしれません。しかし、研究に必要な数理・統計に関する勉強に対して、怖気づかずに取り組むことを期待しています。また、データ分析やシミュレーションのためにはプログラミングを行うこともありますが、そういった挑戦にも積極的に取り組むことを期待しています。

最後に今後の抱負を聞かせてください。

あまり知られていないことかもしれませんが、経営学は社会科学の中の一分野であり、すなわち科学的領域の一つになります。東京工業大学は昨年に東京科学大学となりましたが、本学ではまだまだ科学的一領域としての経営学研究はあまり活発には行われていません。本研究室ではその先導となって、本学の経営学研究を活発化していけるように、取り組んでいきたいと思います。

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