経営工学系 News
経営工学系の学生をリーダーとするチームが第3回工学院E×S Awardを受賞
東京工業大学工学院は「第3回工学院サステナビリティ・チャレンジ(E×S Challenge)」を開催し、12月2日に最終発表会ならびに表彰式を行いました。
工学院E×S Challenge(イー・バイ・エス・チャレンジ)は2021年度から始まったコンテストで、学生や若手研究者がエンジニアリング(E:Engineering)を生かした持続可能社会(S:Sustainable Society)の実現を目指す事業構想を競います。第3回となる2023年度は、前年度に引き続いて台湾国立大学と台湾科技大学の学生チームも参加し、学内5チーム、台湾4チームの計9チームによる国際的なコンテストとなりました。
E×S Challengeは、3つのステップを経て最優秀チームを決定します。最初のステップであるPITCH(ピッチ)コンテストは9月2日に行われ、3分間の英語によるプレゼンテーションで新しい事業のアイデアを発表しました。第2ステップのSTORM(ストーム) では、複数のチームを統合し、アイデアと実現性を飛躍的に進化させることを目指します。2023年度は当初の9チームを5チームに再編成し、10月14日に中間発表会となるSTORMを実施しました。STORMでは、異なるチームのメンバーと議論を進める過程でさまざまな困難が発生しますが、メンターである株式会社野村総合研究所などの企業の方々からサポートを受け、各チームは社会課題を解決する事業プランを練り上げていきました。
完成した事業プランは、第3ステップとなる12月2日のLAUNCH(ローンチ:最終発表会)において発表されました。今回のLAUNCHは、3回目にして初めて対面とオンラインのハイブリッド形式で実施され、工学院教員、株式会社みらい創造機構などの企業の方々に加え、E×S ChallengeのOBから構成される国際的な審査委員会が審査を行いました。
最優秀チームに授与される「第3回工学院E×S Award」は、国立台湾大学工学院 化学工程学系の李雪菱(リー・シャーリン)さん(博士課程3年)と東工大工学院 経営工学系の青木しほさん(学士課程4年)の2人をリーダーとするチームが受賞し、工学院教育基金から開発資金として100万円が授与されました。このチームが提案した事業プランは、廃棄タイヤから作られた薄膜と太陽エネルギーを使って、半導体産業における水(冷却水、超純水)と電力使用に関する問題を解決しようというもので、審査員から高く評価されました。
また、理工系女性のリーダーを含むチームで最上位と評価されたチームにマイクロン財団から贈られるMicron LAUNCH Awardは、東工大工学院 機械系の中嶋哲大さん(修士課程2年)と国立台湾大学生物資源農学院 生物産業伝播発展学系の謝理安(シー・リアン)さん(学士課程3年)の2人をリーダーとするチームが受賞し、開発資金30万円が授与されました。このチームの提案は、ゴミ収集に関する諸問題(足が不自由な人のゴミ出し、ゴミ集積所の管理、収集の効率化)を解決するためのゴミ自動収集システム(ドローン活用)に関するものでした。
各チームはそれぞれのアイデアをこの審査会で終わらせることなく、今後は学内に加えて企業や投資家の支援も受けながら、事業化実現に向けての進化を目指します。今後のE×S Challengeでは、学内においては工学院以外のチームにも参加してもらうとともに、本年中に計画されている本学と東京医科歯科大学の統合を見据え、これまで以上に多くの幅広い分野の学生に参加頂くことを計画しています。実行委員会では、さらに多くの学生がこのコンテストにチャレンジすることを期待しています。
※工学院E×S Challengeは工学院への寄付金(東京工業大学基金 工学院教育基金)による運営事業です。
今年のE×S Challengeに参加したことは、ユニークで思い出深い経験でした。STORMでは、まず日本と台湾の両チームのアイデアを取り入れる必要があると考えましたが、それは不可能に思えました。しかし、最初の数回の週次ディスカッションを通して、最終的に両チームが着手しなかった新しい問題に取り組むことに合意することができました。私たちは、メンターの方々の助けや審査員の方々のアドバイスのおかげで、目標を達成するために集中し続けることができたと心から感謝しています。この3つのステージを通して、私たちは多くのことを学びました。異なる学部、大学、国のチームメンバーと協力したのは今回が初めてだったからです。コミュニケーションをとり、意見を交換し、常に意見を求めて議論を交わすことで、私たちのチームワークが強固なものになっていることは否定できません。最も重要なことは、グループ内の多才さが、私たちをより良くし、最終的にこの挑戦を乗り切った鍵であるということです。最後に、このようなブレインストーミングの絶好の機会を与えてくれたE×S Challengeに感謝し、世界的な問題を解決するための私たちの技術の将来的な可能性を予見したいと思います。
この度は、E×S Awardを頂戴し、大変光栄に思います。大会中は台湾チームの方々と協力し、多くの交流と議論ができました。私たちは、解決したい課題に台湾チームの技術をどのように生かし、課題解決につなげるか考えてきました。台湾チームのろ過技術は素晴らしく、特に半導体産業に貢献できるものでした。大会中は、その技術のアドバンテージやビジネスプランを審査員に伝え、納得させることができるかに苦労しました。お互いの母語が異なり、時間が限られていた中、リモートで英語でやり取りし、意志疎通して同じ目標を達成することが難しかったです。そういった中で、メンターや審査員から助言を受け、お互いのチームが同じ目標に向けて時間をかけて議論し、最終的にはお互い納得できる発表ができました。関わった全てのチームメンバーや審査員、メンターに心から感謝申し上げます。この経験を生かし、今後も持続可能社会の実現に向けて社会貢献をできるよう精進したいと思います。
東工大の大学院生3人からなる我々のチームは、国立台湾大学の学部生4人からなるチームと共同で「自動運転ロボット×家庭ごみ収集」の事業企画に取り組みました。この企画テーマは、23年度前期のリーダーシップ教育院開講科目「リーン・ローンチパッド」において我々のチームが取り組んでいた内容が基になっています。
我々のチームは、この工学院サステナビリティ・チャレンジでPITCH Founders AwardとMicron LAUNCH Awardを受賞しました。前者に関しては、我々がリーダーシップ教育院の授業で取り組んできた内容が結果につながりましたが、後者に関しては、台湾チームのアイデアとメンターからのアドバイスなくして受賞することはできなかったので、台湾チームとメンターの方々に協力いただいたことを非常に感謝しています。
台湾チームとの共同作業では、特に言語の壁や学年の違いによる生活リズムの違いにかなり苦戦しましたが、それを乗り越えて成功を収めたことは非常に良い経験になりました。
第3回E×S Challengeに参加し、Micron LAUNCH Awardを受賞できたことを本当に光栄に思います。特に、STORMフェーズでのJ2チームとの出会いに感謝しています。何度も議論を重ね、両チームの提案をうまく融合させることができました。私たちの目標は、自律走行技術を使って既存のゴミ収集の問題を解決し、より良い生活環境をつくり、市民の生活の質を高めることです。
コンペティション期間中のメンターの方々の献身的なご指導に感謝しています。貴重なアドバイスをいただいたことで、当初の計画を見直し、さまざまな視点を模索することができました。最後になりましたが、学際的なコラボレーションを経験する機会を与えてくださり、開発のためのプラットフォームを提供してくださった東京工業大学のオーガナイザー・チームに感謝の意を表したいと思います。このおかげで、私たちはアイデアをインパクトのあるソリューションに変えることができました。このコンペティションは、私たちにとって重要な意味を持っています。
このイベントは東工大基金によりサポートされています。