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構造が大きく異なる化合物ペアにFEP計算を適用する新規手法を開発

結合自由エネルギー推定の適用範囲を拡大し、創薬を加速

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2025.01.28

PairMap法によって標的分子への結合自由エネルギーを予測するFEP計算のイメージ図

PairMap法によって標的分子への結合自由エネルギーを予測するFEP計算のイメージ図

東京科学大学(Science Tokyo)※ 情報理工学院 情報工学系の大上雅史准教授、古井海里博士後期課程学生らとアリヴェクシス株式会社の共同研究チームは、創薬における標的分子への低分子化合物の結合能を推定する自由エネルギー摂動(FEP)計算[用語1]計算をより効率的に行うための新たな手法を開発しました。


近年、計算機を用いた医薬品開発プロセスでは、弱い活性を持つ医薬品候補化合物からより強固な活性を持つ化合物へと最適化を行うために、分子シミュレーションの一種であるFEPが大きく貢献しています。FEP計算では2つの化合物の間で仮想的に構造変換(アルケミカル変換)させながらシミュレーションを行うことで結合自由エネルギーの差を求めますが、2つの化合物の分子構造が大幅に異なる場合は適用が難しく、正しいエネルギー値を得られないことが大きな課題となっていました。


大上准教授らは、分子構造が大幅に異なる化合物間の構造変換を直接計算せず、中間化合物[用語2]を介して簡単な構造変換に分解して計算することで、高精度かつ効率的にFEP計算を実施するPairMap法を開発しました。この新手法により、これまでは困難だった複雑な構造変換においても、高精度なFEP計算ができるようになりました。この研究によって、医薬品開発プロセスにおけるFEP計算の利便性や適用範囲を拡大し、創薬にかかる膨大な時間と費用の削減に貢献します。


本成果は、2025年1月12日付(現地時間)の「Journal of Chemical Information and Modeling」誌に掲載されました。


用語説明

[用語1] 自由エネルギー摂動(FEP)計算:標的タンパク質への化合物の結合自由エネルギーを求める分子シミュレーション手法。

[用語2] 中間化合物:2つの化合物間の構造変換を分解する際に用いる仮想的な中間段階の化合物。


詳しくは、下記 Science Tokyo ニュースをご覧ください。


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