建築学系 News
東京工業大学の田中享二名誉教授が、「2022年日本建築学会大賞」を受賞しました。一般社団法人日本建築学会によると、本賞は田中名誉教授の「建築物の長寿命化に資する建築防水技術の体系化、および建築防水に関わる研究・教育・産業領域への社会貢献」に対して授与されたものです。
日本建築学会は1886年に創設され、建築に関する学術・技術・芸術の進歩発達をはかることを目的とする学術団体です。日本の建築界において主要な役割を果たしており、現在、約3万5千名の会員が所属しています。日本建築学会大賞は、建築に関する学術・技術・芸術の発展向上に長年の業績を通じて、特に著しく貢献した個人会員(表彰件数は原則として年3件)を対象として選定され、受賞者には賞状と賞牌が贈られます。
この度の受賞の対象のほとんどは、東工大で諸先生、同僚、学生さん等の多くの方々の応援と協力のおかげで受けることができたものであり、心より感謝申し上げます。実は私は札幌生まれで、建築の勉強は北海道大学でした。ただ私の卒業研究の指導教官であった小池迪夫先生が東工大に転出されており、その縁で1971年修士課程修了後、直ちに東工大・工業材料研究所(後の応用セラミックス研究所・建築物理研究センター)に助手として勤務することになりました。当時の建築は吉岡丹先生、後藤一雄先生、仕入豊和先生、清家清先生、篠原一男先生、藤本盛久先生、小林啓美先生等、本や雑誌等でしか知らなかった著名な先生方が現役でバリバリと仕事をされており、気後れするばかりでしたが、学科は和気あいあいとしていて、先生方も気さくに声をかけてくださり、すぐに建築グループの仲間に加えさせてくださいました。それがずっと2011年の定年退職まで続きました。
これは本当に東工大の良き学風だと思うのですが、非常にリベラルな大学であると思います。確かに研究の内容と水準の評価は厳しかったですが、権威主義的な拘束は皆無でのびのびと研究に取り組むことが出来ました。そして何よりも素晴らしいのは、周りにはいつも研究の討論に付き合ってくれるレベルの高い先輩、同僚、後輩がいたことでした。研究の質を高めるという観点からは最高の環境でした。これは金銭で評価できない財産で、今でも最高の大学であると思っています。
「建築物の長寿命化に資する建築防水技術の体系化、および建築防水に関わる研究・教育・産業領域への社会貢献」