未来

情報漏えいから社会をまもる暗号技術を

日本電気株式会社
セキュリティ研究所

肥後 春菜 さん

肥後 春菜さん

現在の仕事について教えてください。
電機メーカーの研究所で、学生時代と同じく、暗号に関する研究を行っています。大学では主に暗号の安全性に関する理論的な研究を行いましたが、就職後はより実用を見据えた技術の研究を行っています。特に現在は、秘匿計算と呼ばれる、データを暗号化したまま処理を行う方法に興味があります。近年、個人情報や機密情報の保護の必要性が高まりから、このような技術への要望は多く、今後さらに増加すると考えられます。これまでの業務では例えば、生体認証における生体情報の漏洩の危険性に注目し、生体情報を暗号化したまま照合することにより、生体情報の漏洩を防ぐことができる生体認証方式を考えました。研究成果は国際会議でも発表しました。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
学部では数学や統計、コンピュータなどの幅広い知識など得ることができました。4年次の研究室配属までに興味が広がり、入学時には知らなかった暗号の研究をすることを選びました。大学院でも引き続き暗号の研究をし、さらに就職後も暗号の研究を続けています。
研究室で得た暗号の研究に関する知識や経験が今の仕事に活きているのはもちろんですが、指導教員の田中先生や先輩方からお教えいただいた、論文の書き方や発表の仕方などの「伝え方」も大変役立っています。田中先生は伝える相手のことを思いやった表現をするようにという意味で「サービス精神を大切にしなさい」と指導されるのですが、仕事をする際にもこの言葉をよく思い出します。
今後の目標を教えてください。
大学時代から同じ分野の研究をしていますが、知識、経験ともにまだ乏しいと感じています。自分で自信と誇りを持つことができ、周りからも高い評価を得られる研究成果を多くあげられるよう、努力を続けたいと思います。近い将来に、「暗号業界で○○と言えば肥後」と言われるような研究者になることが目標です。
また、将来どのような技術が求められるようになるかはまだわかりません。最新の研究の情報や社会の流れについての情報に注目し、変化に柔軟に対応できるようになりたいとも思っております。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
東工大では2年進級時に学科を選択するため、幅広く学んだ上で本当に興味のある学科や研究分野を選択できるという良さがあると思います。私は、1年次の類課程や学科配属後研究室配属までの期間に様々な科目を履修する中で暗号に興味を持ち、それが職業にまでつながりました。また、東工大の研究室は比較的少人数制で、指導教員と学生の距離が近いため、指導教員や先輩にしっかり研究を指導してもらえるのも良い点だと思います。

ひご・はるな(東京都出身)

2008年
東京工業大学 第1類 入学
2012年
東京工業大学 理学部情報科学科 卒業
2014年
東京工業大学 大学院情報理工学研究科数理・計算科学専攻 修士課程修了
2014年
日本電気株式会社 入社

※記事の内容は取材当時のものです

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