未来

株式市場を守り、日本の経済をささえる

株式会社東京証券取引所
株式部 売買監理グループ

小松 章彦 さん

小松 章彦さん

現在の仕事について教えてください。
皆さんは「東証」と聞くとテレビニュースでよく扱われる、株価がクルクル回る巨大で透明な筒がある場所を思い浮かべるのではないでしょうか。「マーケットセンター」と呼ばれるあの場所が現在の私の職場です。誤注文や相場操縦の疑いのある取引などがないか、雨の日も雪の日も一日中モニター画面に目を光らせています。私の会社は、株式相場の変動を通じて、日本経済の体調を示す温度計の役割を果たしていると言われます。またそれだけでなく、企業が株式を投資家に買ってもらい、その分のお金を集めてより大きな事業が行えるようにする場でもあります。日本経済の根底を支える縁の下の力持ちのような仕事で、とてもやりがいを感じています。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
研究テーマが直接活用できているわけではありませんが、研究に取り組む過程で学んだことは仕事に活きています。その一つが研究室のゼミです。論文や海外の教科書を読んで発表するのですが、指導教員を中心に鋭い指摘が次々と入ります。特に私は数学系で数式による論理展開が説明のメインになります。論理展開の説明には完璧な理解が求められるので、入念な予習が必要です。職場でも環境は似ています。数字を一つでも間違えると大変な業界なので、万全の備えは必須です。また、万能ではありませんが人を納得させるには論理が必要です。適度なプレッシャーの中で準備を徹底して行った習慣と、そこで鍛えられた論理能力には今でも助けられています。
今後の目標を教えてください。
株価が急激に変動することなく誰もが安心して株を売買できるように、東証は規則を定めています。例えば投資家が株を売買するときに課せられる規則一つとってみても、注文方法には数多くの制約があります。私は現状の売買状況等のデータを数理的に分析して、制約を適切に調整することで、より多くの投資家が利用したいと思う市場づくりを目指したいです。特に理系出身者が少ないので、大学の研究で学んだ分析手法を職場に持ち込むことでより良い制度を提案する余地があるのではないかと考えています。海外の投資家も増えている中、より多くの投資家のニーズに応えられる取引所を創設し、世界の中の東証のプレゼンスを少しでも高めていきたいです。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
東工大には「周りに流されずに自分のやりたいことに執念を燃やして打ち込む人」がとても多いように感じられます。身近な優秀な人たちの活躍に、目の覚めるような思いをすることもしばしばありましたが、それでいてどこか素直で無邪気な人が多いのが東工大の良いところです。研究に部活にアルバイトに、やりたいことを思いっきりやれる環境が整っている、そんな東工大で是非とも未来を切り開いていただきたいと思います。

こまつ・あきひこ(東京都出身)

2008年
東京工業大学 第1類 入学
2012年
東京工業大学 理学部情報科学科 卒業
2014年
東京工業大学 大学院情報理工学研究科数理・計算科学専攻 修士課程修了
2014年
株式会社日本取引所グループ入社、株式会社東京証券取引所勤務

※記事の内容は取材当時のものです

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