建築学系 News
超スマート社会推進コンソーシアムスマートワークプレース教育研究フィールドにおける産学連携
東京工業大学は、三菱地所株式会社、Tokyo Marunouchi Innovation Platform、アズビル株式会社、株式会社イトーキ、三菱電機株式会社らと、労働者のウェルネスの実現を目的とし、超スマート社会推進コンソーシアム* スマートワークプレース教育研究フィールドの中で、AIによる空調制御やIoTセンシングを活用した労働者の健康管理の実証実験を2022年7月より開始します。実証実験に必要なネットワーク環境は、本コンソーシアム参加企業の楽天モバイル株式会社の協力を得て構築します。
本実証に先立ち、すずかけ台キャンパス内に本実証のための空間「スマートワークホーム」を新たに整備、従来の住宅の役割である「休む」と、急速に需要が高まった「働く」が両立する住宅のあり方について、被験者実験をベースに検証していきます。
働き方改革の推進や新型コロナウイルス感染拡大といった環境変化から多くの企業でテレワークが導入され、業務内容や状況に応じて働き方を柔軟に使い分ける動きが加速しています。多様なワークスタイルが浸透することで、自宅やオフィス、サードプレース[用語1]、ワーケーション施設など、働く場の選択の幅が今後もますます広がることが予想されます。
本実証実験では、在宅勤務に係る教育・研究に利用するための「スマートワークホーム」をすずかけ台キャンパス内に設置、被験者実験にて睡眠効率と作業効率の計測を行い、両者が最大化する住宅の内装や設備の制御方法について検証します。
サードプレース「3×3 Lab Future(さんさんラボ フューチャー)」(東京・大手町)では、新型コロナウイルスの空気感染の原因といわれる空気中に長期間漂う飛沫核の様子をシミュレーションとXR(Extended Reality)技術を用いて可視化することで、健康に配慮した安心安全なワークプレースを提供することを目指します。また、センサーやカメラの情報をAIで解析し、従来型の室温のみの空調制御とは異なる、着衣量や温熱快適性などを基にした、より人に寄り添った空調制御を行います。
さらに、住宅とサードプレースに続き、今後はオフィスのあり方を模索するためのフィールドの整備を進めていく計画です。
本実証実験を通じスマートワークプレース教育研究フィールドは、現在分断されてしまっている働く場(自宅、オフィス、サードプレースなど)をデジタル技術で有機的に繋ぎ、労働者の健康状態を一元管理することで、体調の変化を捉え、多様な働き方を健康な状態で実現することを目指します。同時に労働者のウェルネスの実現により、一人ひとりが効率的に、長きにわたりいきいきと働くことができ、労働力不足の社会課題解決にも繋がることを期待しています。
2022年7月~(予定)
1. 2. ともに東工大の学生。今後、労働者に対象を広げることを検討
※新型コロナウイルスの感染拡大状況に鑑み、実施期間や検証内容等が変更になる可能性があります。
東京工業大学は、超スマート社会(Society 5.0)の実現を推進する「超スマート社会推進コンソーシアム」を2018年に設立し、参加機関と連携して人材育成から研究開発までを統合した新たな次世代型社会連携教育研究プラットフォームを構築しています。
具体的には、大岡山キャンパスならびにすずかけ台キャンパスに6つの教育研究フィールド(スマートモビリティ、スマートロボティクス、量子科学、人工知能、スマートワークプレース、スマート農業)を構築し、最先端の超スマート社会の実現に向けた様々な研究・実証実験を行っています。
[用語1] サードプレース : 自宅(ファーストプレース)や職場・学校(セカンドプレース)ではない、個人としてくつろぐことができる第三の居場所。