社会・人間科学系 News
東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院および科学技術創成研究院の若松英輔教授(社会・人間科学コース 主担当)が、NHK Eテレ「こころの時代~宗教・人生~」にシリーズで出演中です。
この番組は、哲学、宗教を中心とした各界の第一人者や、様々な苦難と共に人生を歩んで来た人物にインタビューし、それを通して、心の奥深くに響く、人生の指針となる言葉を伝える番組です。1982年から続き、世代と時代を超えた番組となっています。
本シリーズでは、旧約聖書「コヘレトの言葉」をテーマに、若松教授と、この書を30年にわたって研究する牧師・東京神学大学の小友聡教授が語り合います。
2020年4月から始まった本シリーズは、新型コロナウイルスの影響による中断を経て、同11月に再開され、今後は毎月1タイトルのペースで放映が続く予定です。
先のアメリカ大統領選挙で勝利したジョー・バイデンが勝利宣言を行った講演で『旧約聖書』の一節を引用したというニュースが世界を駆け巡りました。それは今回番組で取り上げる「コヘレトの言葉」に由来するものだったのです。
バイデンはこう語りました。すべてには「時」があり、今のアメリカは、壊すのではなく、建てる時であり、収穫し、新たに種を植える時であり、そして癒しの時でもある。これら言葉は原典では次のように記されています。
天の下では、すべてに時機があり、すべての出来事に時がある。
生まれるに時があり、死ぬに時がある。
植えるに時があり、抜くに時がある。
殺すに時があり、癒すに時がある。
壊すに時があり、建てるに時がある。
(3章1-3節 聖書協会共同訳)
人間にとって幸いであることだけでなく、危機にもまた「時」がある。人間を超えた大いなるものが司る摂理的な「時」がある、というのです。
現代人は、この世の時間を自由にできると思いがちです。しかし歴史はそうした思い上がりに強い「否」を突きつけます。
今、私たちが直面している危機に至る歴史と行く末を、この古典の叡知に導かれながら考え直してみたいと思っています。
※放送日時は変更になる場合があります。NHKの番組公式サイトで確認できます。