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鈴木正俊准教授が名古屋大学数理科学同窓会学生奨励賞(飛田賞)を受賞

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2019.01.28

鈴木 正俊 准教授が名古屋大学大学院多元数理科学研究科出身の若い研究者に対して数理科学同窓会から贈られる名古屋大学数理科学学生奨励賞「飛田賞」を受賞しました

受賞理由
 Riemannゼータ関数に対するRiemann予想は整数論の予想の中でもとりわけ困難な問題として知られているものですが, 鈴木正俊氏はJ. C. Lagarias氏との共著論文の中で, ある種の大域的なゼータ型関数がRiemann予想の類似を満たすという, おそらく誰も予想していなかった驚くべき結果を証明しました. これはそれぞれ独立に得られた結果ですが, 同じ時期に同じ結果を得ていたので最終的には二人の共著となりました. 鈴木氏は, その後L. Weng氏によって導入されたWengのゼータ関数が種々の場合にRiemann予想の類似を満たすことを証明しています. 彼の手法は, 鈴木氏以前に示されていた, 関数体の合同ゼータ関数やSelbergゼータ関数の場合のRiemann予想の証明とは全く異なるものです.
 I. Fesenko, G. Ricotta氏との共著論文ではスキーム上のHasseゼータ関数について考察し,「平均周期的」な関数とゼータ関数との新しい関連を確立しました. さらに解析数論的な, 解析的計算を主体として, ゼータ関数の零点の「差」の挙動に, 一般の値分布を記述するいわゆるM関数が現れることを初めて発見しました. これらは, どれも画期的な内容を含んでいます. 最近の鈴木氏の主要な研究方向の一つは, ゼータ関数にHamiltonianを対応させ, それをできるだけ具体的に表示することでRiemann予想にアプローチする, というもので, de Brangesの関数空間の理論やSchrödinger方程式論などを背景とする壮大な試みであり, これも大変魅力的な方向です.
 鈴木氏の研究は, もちろん現時点では本来のRiemann予想の証明には届いていませんが, にもかかわらず, Riemann予想の類似の成立する世界を拡大しより豊かにしたといってよいでしょう. その後も, 次々と新しい視点からの研究を進めていく独創性と数学的力量は誠に素晴らしいもので, こうした鈴木氏の業績は飛田賞受賞候補者として大変相応しいものです.



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