未来

無限次元空間の構造解明をめざして

千葉大学
大学院理学研究科 数学・情報数理学コース 准教授

藤川 英華 さん

藤川 英華さん

現在の仕事について教えてください。
数学の解析学の一分野である複素解析学の研究をしています。特にリーマン面と呼ばれる二次元の曲面の変形空間であるタイヒミュラー空間の理論を専門にしています。リーマン面が有限型の時にはタイヒミュラー空間は有限次元になり、すでに複素解析学のみならず、いろいろな分野で様々な角度から活発に研究が行われてきています。その一方で、リーマン面が無限型の時にはタイヒミュラー空間は無限次元になり、有限次元の時には見られなかったおもしろい現象が数多く観察できますが、様相は非常に複雑になります。私はそんな無限次元タイヒミュラー空間の構造の解明を目標に研究を進めています。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
東工大修士課程の時に現在の研究テーマに出会いました。修士論文が最初の考察になっています。修士の頃、(読めるかどうかに関わらず)気になった論文を片っぱしからコピーしたり、(すぐに必要でなくても)たくさんの本を買ったり借り込んだり、(すぐには理解できなくても)勉強会や研究集会に出席してみたりしたことは、後になって非常に役に立っています。博士後期課程の時には大岡山キャンパス本館4階の静かな院生室にこもって一日中数学を考えることができましたが、一つの問題に没頭できたことが研究者としての基盤を作ったのではないかと思っています。
今後の目標を教えてください。
無限次元空間の混沌から抜け出して、理論の統一を目指したいと思います。さらには、多くの現象を統一する原理を有し、新しい分野を創成する枠組みを与える理論、特に、次元には関わらない包括した理論を構築したいと考えています。そして複素解析学のみならず、群論、幾何学、力学系理論などの数学の幅広い分野で無限次元タイヒミュラー空間論が興味深い研究対象に確立されるように研究を進めていきたいです。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
東工大では、素晴らしい先生方や先輩、全国から集まる友人に囲まれて、大変刺激のある充実した生活を送ることができます。特に大学院では、たくさんの集中講義やセミナー、勉強会が開催されていますので、自分の研究分野の洞察を深められることはもちろん、専門分野以外でもたくさんの知識を習得することができます。図書館では本、雑誌などの文献が非常によく揃っていますので、恵まれた環境の中で研究することができます。

ふじかわ・えーげ(神奈川県出身)

1998年
東京工業大学 大学院理工学研究科数学専攻 修士課程入学
2000年
東京工業大学 大学院理工学研究科数学専攻 修士課程修了
2003年
東京工業大学 大学院理工学研究科数学専攻 博士後期課程修了
2007年
千葉大学 大学院理学研究科数学・情報数理学コース 助教
2008年
千葉大学 大学院理学研究科数学・情報数理学コース 准教授

※記事の内容は取材当時のものです

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