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1変数保型形式にはない多変数保型形式独特の現象として「Ramanujan予想の反例の存在」があるでしょう。Ramanujan予想の古典的な
定式化は、保型表現論的には「カスプ保型表現がすべての素点でtemperedで
あること」と言い換えることができます。本講演では以下の2つの場合で、
「すべての有限素点でnon-temperedな非正則実解析的カスプ形式」(または
それが生成するカスプ保型表現)の構成を1変数Maassカスプ形式からの
リフティングにより与えた最近の結果を紹介します。
1.四元数体上の次数2の一般線形群(または5次元実双曲空間)
2.符号(1,8n+1)の直交群(8n+1次元実双曲空間)
1の群は中心を法として符号(1,5)の直交群と本質的に同一視できます.
この場合はBadulescu-Renardによる一般線形群のJacquet-Langlands対応により、
次数4の一般線形群の留数スペクトルと対応しているカスプ形式の構成です。
2の``8n''は定符号偶ユニモジュラー格子の階数を表しておりnは一般です。
(Darmstadt工科大のYingkun Li氏とOklahoma大のAmeya Pitale氏との共同研究)
更新日:2018.06.29