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CappellとShanesonは、3次元トーラスのmapping torusを手術することにより4次元のホモトピー球面を無数に構成する方法を示した。Gompfはこのホモトピー球面の微分同相型を固定したまま、mapping torusの貼り合わせ写像(およびそれに対応する行列)を取りかえる方法があることを示した。本講演ではGompfにより導入された操作の応用を進めて、行列のトレースがある程度小さい場合にはその行列をもとに構成されるCappell-Shanesonホモトピー球面が通常の4次元球面に微分同相であることを証明する。トレースを固定するごとに行列が共役類を除いて有限個だけ現れることは古くから知られており、また大半のトレースでは計算代数システムMagmaを用いてそれら有限個の完全代表系を具体的に列挙することが可能である。この計算は代数的整数論によって基礎付けられているが、一方で例外的にMagmaによる計算の困難なトレースも無数に存在する。たとえばトレースが27の場合はその例外である。本講演では行列のトレースが27の場合についても、Cappell-Shanesonホモトピー球面が通常の4次元球面に微分同相であることを証明する。なお、この研究はMin Hoon Kim氏との共同研究である。
更新日:2017.12.04