電気電子系 News

2023年度優秀修士論文賞 受賞!― 神田 大毅さん(パワーエレクトロニクス研究室)―

ゲート磁気結合方式を用いた駆動回路におけるゲート電圧振動抑制方法

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2024.04.03

今回、電気電子系166名の中から16名が、優れた修士論文発表を行いこの賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。

指導教員の萩原誠先生と神田 大毅さん(右)

指導教員の萩原誠先生と神田 大毅さん(右)

この研究はどんな内容で、どのように世の中の役に立つことが期待できるのでしょうか?

私の研究分野であるパワーエレクトロニクスは、電力変換器を用いて直流から交流などの電力の変換・制御・供給を行う技術であり、電車や電気自動車などの移動体を駆動させるための装置、家電に電力を供給するための電源装置、電力の送配電などに用いられています。電力変換器には半導体パワーデバイスが用いられており、近年は低損失で高速スイッチングが可能なSiC-MOSFETが注目されています。

私の修士論文では、SiC-MOSFETスイッチング素子を直列に接続し、電力変換器の高耐圧化を実現できると同時に、変換器全体の導通損失を低減することができる、素子直列接続技術について研究しました。スイッチング素子を直列接続することで高耐圧化が実現できる一方で、それぞれの素子を制御するゲート駆動回路のゲート信号伝送の時間ずれやゲート電圧の差などによって、各素子に分担されるドレイン・ソース間電圧にアンバランスが生じる場合があります。この時、片方の素子に過電圧が印加されることで素子の故障を引き起こしてしまうため、電圧のアンバランスを抑制する必要があります。

そこで本研究では、SiC-MOSFETスイッチング素子を直列接続した構成に、新しい回路構成を追加したゲート駆動回路を適用した場合の実機試験を実施し、ドレイン・ソース間電圧アンバランスの抑制について検証を行いました。またこの時にゲート電圧が振動することで、各素子のゲート電圧に差が生じてしまい、これが電圧のアンバランスを増大させる要因となるため、ゲート電圧の振動を抑制するための回路も新たに搭載し、その効果について確認しました。

実機試験では、回路中に寄生する容量やインダクタンスなどの成分が誤差の要因となり実験結果に影響するため、誤差をなるべく小さくするように実験装置を組み立てました。また、実験を通じてデータを細かく解析しながら粘り強く試行錯誤することの重要性を学びました。実験や解析がうまくいかないことも多々ありましたが、先生方との議論を通して研究を深く理解し進めることができました。

受賞の感想

この度、優秀修士論文賞という素晴らしい賞をいただき大変嬉しく思います。指導してくださった萩原先生をはじめ、研究室の先生方や学生の皆様、普段の生活を支えてくれた家族や友人に感謝しております。

修士課程で習得した知識や経験、研究に取り組む姿勢などを活かし、社会人生活でも様々なことに挑戦していきたいと思います。

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