未来

マクロの視点で新たなエネルギー政策を

経済産業省
資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課
新産業・社会システム推進室/燃料電池推進室/熱電併給推進室/制度審議室
室長補佐(総括)

片山 弘士 さん

片山 弘士さん

現在の仕事について教えてください。
東日本大震災後の電力システム改革や再生可能エネルギー利用の拡大が進む中、私のミッションは、新しいエネルギー利用のあり方を推進することです。たとえば、電気・熱に次ぐ第三の二次エネルギーとして注目を集めている水素エネルギーについては、燃料電池車(FCV)や家庭用燃料電池(エネファーム)の普及により水素の利用拡大を進めるとともに、海外の未利用エネルギーの活用を含め、水素の製造・調達、輸送・貯蔵、利用に至るまでの水素サプライチェーンの構築に向けた技術実証や制度整備を進めています。経済性の確保等課題は山積していますが、こうした政策を通じてエネルギーの3E+Sの確保に加え産業競争力強化に取り組んでいます。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
学生時代に学んだ知識は、社会に出てから学ぶことの1/100にも及びません。研究を進める上で、理論や先行研究等を「知る」ことはもちろん必要ですが、より大切なことは「自ら考える力」を身につけることにあると思います。大学の研究において行う、断片的な情報から仮説を立て、検証をし、次につなげていくというプロセスは、政策の企画立案においても最も大事な要素の一つであり、大学で身につけることのできる非常に価値の高い素養です。私の担当教授は学生を対等な存在として扱い、同じ目線でディスカッションしてくれました。時には教授や先輩に頼ることも必要ですが、自ら考え抜くことが将来の糧になっていくのではないかと思います。
今後の目標を教えてください。
日本は今後本格的な高齢化・人口減少時代を迎え、生産性の向上のみではGDP成長率に対する人口減の影響を相殺できないような時代に突入していくと言われています。65歳以上の高齢者比率は2080年頃まで増加し続けるという試算もあります。世界経済自体も低成長時代に突入していく中、日本は何で稼いでいくのか、エネルギーの安定供給をいかに確保できるか。経済産業省というツール/リソースを使って何ができるか、考える日々は続きます。忙しい日々を過ごしていると、ついついこうしたマクロの視点を見落としてしまいがちですが、大局観を損なうことなく、足元のミッションについても一歩ずつ確実に歩みを進めていきたいと考えています。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
自分にとっては、東工大は自分のやりたいことをやりたいようにやれる、素晴らしい「遊び場」でした。何か新しいことにチャレンジしたい、解明されていない現象について研究してみたい方に向いていると思います。世界最先端の研究施設を持ち、優秀なスタッフも充実しているので、自分次第でどんな方向にも能力を伸ばすことができる環境ではないかと思います。何より、お互いに切磋琢磨し合う仲間は一生涯の宝物になると思います。

かたやま・ひろし(愛知県出身)

2001年
東京工業大学 第5類 入学
2005年
東京工業大学 工学部電気電子工学科 卒業
2007年
東京工業大学 大学院理工学研究科電気電子工学専攻 修士課程修了
2007年
経済産業省 入省
2011年
内閣官房へ出向
2015年
London School of Economics and Political Science Master of Public Administration 修了
2015年
現職

※記事の内容は取材当時のものです

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