未来

驚きにみちた10億分の1メートルの世界

日本電信電話株式会社(NTT)
物性科学基礎研究所 研究主任

山端 元音 さん

山端 元音さん

現在の仕事について教えてください。
現在、東工大時代の研究とも密接に関係のある、ナノメートル(10億分の1メートル)スケールのシリコン素子に関する研究を行っています。特に力を入れているテーマは、たった1つの電子をシリコン上で正確に制御し、周期的に一方向に運ぶことのできる単電子ポンプという素子の研究です。この素子を利用すると、非常に正確な電流を生成することができるので、電流の物差しに対応する電流標準への応用が期待されています。その研究の中では、様々な予想し得なかった特性や新しい物理現象が観測されるため、それらを理解し応用へ向けて改善策を考える毎日です。様々な発見の連続なので新鮮味に溢れ、ワクワクしながら仕事をしています。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
東工大では世界最先端の研究を行っていく中で、学内での研究活動だけでなく、海外の大学とのコラボレーションの機会も多くあります。私は修士課程から博士後期過程にかけてケンブリッジ大学とハーバード大学に短期留学をさせて頂きました。そこでは、多くの優秀な研究者との出会いがあり、学ぶことが沢山ありました。また、ハーバード大学では、東工大の小寺准教授(当時助教)と議論を重ね集中的に実験を行うことで、二ヶ月程度の短期間でありながら、学術論文をまとめることができました。現在の研究が当時のものと関連性が高いこともあり、三つの大学での様々な経験は、仕事を円滑に行っていく上で大変役立っています。
今後の目標を教えてください。
まずは、単電子ポンプを高精度化することにより、電流標準応用を目指すことが当面の大きな目標です。大学時代から継続して蓄積してきた様々な知識やノウハウを駆使して、応用へと繋げていきたいと考えています。更に、既存の情報処理素子やセンサ素子などを凌駕する性能を持った、新しい素子の追求もシリコン素子の研究者としての重要な目標です。簡単なことではありませんが、皆がアッと驚くような素子の提案・実証などが行えるよう、新しいことにどんどん挑戦していきたいと思っています。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
東工大は沢山の有益な機会に溢れている、大変恵まれた大学だと感じています。但し、その機会を上手く使えるかどうかは自分次第という側面もあるので、是非、積極的に様々なことにチャレンジをして経験を積んで下さい。私もそうでしたが、最初は自分には難しいのではと思うようなことも、諦めずに必死に頑張ると意外と何とかなるものなので、何にでも果敢にトライし、自分の新たな可能性を発掘していって下さい。

やまはた・げんと(神奈川県出身)

2001年
東京工業大学 第5類 入学
2005年
東京工業大学 工学部電気電子工学科 卒業
2007年
東京工業大学 大学院理工学研究科電子物理工学専攻 修士課程修了
2009年
東京工業大学 大学院理工学研究科電子物理工学専攻 博士後期課程修了
2009-2010年
東京工業大学 大学院理工学研究科電子物理工学専攻 ポストドクター
2010年
日本電信電話株式会社(NTT) 入社

※記事の内容は取材当時のものです

ページのトップへ

CLOSE

※ 東工大の教育に関連するWebサイトの構成です。

CLOSE