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陣内研究室 ―研究室紹介 #18―

陣内研究室は未知の素粒子探索を行っています!

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2016.12.15

物理学は、自然界に起きるさまざまな現象の中に法則性を見い出し、それを体系化していく学問です。その対象は、素粒子、原子核という極微のスケールから始まり、多彩な構造や性質をもつ原子レベルの物理、さらに我々を取り巻く宇宙まで、あらゆるものを対象にしています。物理学系の研究室では、そのほとんどすべての領域をカバーし、世界をリードする最先端の研究が行われています。

研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、未知の素粒子探索を行う、陣内研究室です。

陣内修准教授

研究テーマ
LHCアトラス実験を用いたエネルギーフロンティア素粒子実験
Webサイト
陣内研究室別窓
研究者詳細情報(STAR Search) - 陣内修別窓

研究内容

我々は世界最高エネルギーの加速器LHCを用いて素粒子実験を行っています。

この宇宙がどのような仕組みでできているのか、またどう誕生したのか、この問いを究極に微細な存在「素粒子」を研究することにより解き明かそうというのが素粒子物理です。素粒子実験は常に時代の最先端の技術を開拓し、数多くの発見・検証をして来ました。現在「素粒子の標準模型」とよばれる理論体系で、ほとんど全ての素粒子現象が高精度に説明できています。2012年にLHC実験(アトラス・CMS)が発見したヒッグス粒子も、その性質の測定から、標準模型の枠組みに収まる粒子であることが濃厚になりつつあります。しかし我々は標準模型が更なる高エネルギーで破綻することを知っています。その堅固な壁の向こう側に待つ究極の素粒子像の探究、これを超高エネルギーの加速器衝突実験で切り拓いて行くのが我々の研究テーマです。(研究室紹介資料PDF

研究詳細

世界最大エネルギーLHCの加速衝突点に建設されたアトラス検出器を用いて 陣内研究室が取り組んでいる研究は主に2つです。

(1)2012年に発見され、2013年のノーベル物理学賞にも繋がった、ヒッグス粒子に関係する物理現象の研究

ヒッグス粒子自身の特性を測る、もしくはヒッグス粒子を通じて新たに見えてくる物理現象の観測を考えます。

(2)標準理論を越えた新しい物理現象を考えたときに現れる、様々な新粒子の探索

新粒子探索の中で有望視されている超対称性粒子など宇宙の暗黒物質の正体となる新粒子を探します。

LHC Run1(3年間)で得られたデータからは、この粒子は発見されませんでしたが、LHCの潜在的な探索能力はまだまだ発揮されていません。

現在Run2(2015~2018)で2倍に上がった衝突エネルギー、数倍に及ぶ高輝度のデータを用いて探索を続けています。

(1)(2)は密接に関係しています。陣内研での物理テーマでは、特に超対称性に重点をおいています。

その中でも近年注目されている、グルイーノやゲージーノ(超対称性粒子の一種)生成や、超対称性粒子の寿命が長く検出器中を崩壊せずに通過するような、特徴的な信号を追っています。これらは主に博士課程の大学院生がCERNに長期滞在して取り組んでいます。検出器のハードウェアとしては、アトラスの中枢部にある半導体飛跡検出器のPixelとSCT(Semi Conductor Tracker)など、現在稼働中の検出器の運転に貢献しています。

また将来計画されているLHC加速器&アトラス検出器のアップグレードに向けて、新型の半導体検出器の開発も進めています。

どちらも修士課程学生を中心にして活躍し、その活動は実験グループ内でも高い評価を得ています。

更に、実験室内でできるポジトロニウム(電子と陽電子からなる原子様粒子)を使った小規模素粒子実験も4年生の卒業論文研究を中心にして取り組んでいきます。

アトラス実験web site別窓

学生に一言

陣内先生より

素粒子実験は長い歴史を持っていますが、常に何か新しい、思いもよらなかった発見を期待させてくれる分野です。長年の経験も重要ですが、アトラス実験では全てのことが未体験領域、つまり誰にとっても新しいことなので、若い人が最前列に躍り出ることのできるチャンスが数多くあります。大型国際協力実験ですが、自分の考えをしっかりもって取り組めば必ず活躍出来ます。そんな元気のある人達が集まる研究室を目指します。

また、英語での意思伝達をすることは国際協力実験の現場において、非常に重要です。陣内研では4年生からその環境に慣れてもらうという意図もあり、グループミーティングは英語で行っています。

メンバー紹介

  • 准教授:陣内修
  • 博士3年:本橋和貴
  • 博士2年:留目和輝、山口大貴
  • 修士2年:佐藤真一、澤井宏美
  • 修士1年:江田桂祐、徳武仁美
  • 学部4年:金恩寵、Thanawat Asawatavonvanich

お問い合わせ先

准教授 陣内修
E-mail : jinnouchi@phys.titech.ac.jp

この内容は掲載日時点の情報です。最新の研究内容については研究室サイト別窓をご覧ください。

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