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JAXAの超小型衛星ミッション公募にソーラーセイルの航行技術実証衛星が選定

太陽光を利用した燃料不要の推進システムによる姿勢・軌道統合制御の宇宙実証を目指す

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2024.01.26

東京工業大学工学院機械系の中条俊大助教(機械コース 主担当)を代表者として、東京工業大学、JAXA宇宙科学研究所、九州大学、サカセ・アドテック株式会社の関連研究者からなる研究チームが提案したソーラーセイルの航行技術実証ミッションが、このたびJAXAのJAXA-SMASH超小型衛星ミッション公募#2のテーマとして採択された。本学からは他に科学技術創成研究院の渡邉奎特任助教、理学院物理学系の谷津陽一准教授、工学院機械系の中西洋喜准教授(機械コース 主担当)らが参加している。

今回の採択により、1年間はフィージビリティ・スタディ・フェーズとなり、提案テーマの実現性検討、コンセプト検討、およびミッションに関連する事業化計画を行う。その後フェーズ移行審査を受け、通過すれば衛星開発フェーズ(衛星の設計、開発、打ち上げ、運用を行う)に移行する。

ミッションの内容

 ミッション名: 超小型ソーラーセイルによる姿勢・軌道統合制御

ソーラーセイルとは、物体に太陽光が当たることで生じる力(太陽輻射圧)を積極的に利用して推進する衛星(宇宙機)のことであり、燃料を消費せずに軌道変更を行うことが可能である。燃料搭載量が少ない超小型衛星の推進性能を大きく向上させられ、将来的には月近傍や深宇宙といった、より遠く離れた宇宙の探査における活躍が期待される。

本ミッションにおけるソーラーセイルの姿勢・軌道制御のイメージ。色付きの帯はシミュレーションによる軌道を表し、色が軌道高度に対応している(水色: 低高度、紫色: 高高度)。

  1.  本ミッションにおけるソーラーセイルの姿勢・軌道制御のイメージ。色付きの帯はシミュレーションによる軌道を表し、色が軌道高度に対応している(水色: 低高度、紫色: 高高度)。

選定されたテーマ「超小型ソーラーセイルによる姿勢・軌道統合制御」では、地球周回軌道において、50kg級以下の超小型衛星を用いたソーラーセイルの技術実証ミッションの実現を目指す。本ミッションでは、地球周回軌道上で数メートル四方のセイル(帆)を展開し、適切に姿勢制御を行う(太陽方向に対するセイルの傾きを、軌道制御にとって適切な角度に傾ける)ことで太陽輻射圧を利用して(燃料を消費せずに)軌道高度を上昇させるなどし、セイル展開、姿勢制御、軌道制御といったソーラーセイルの主要技術を実証する。特に姿勢・軌道の統合的な制御はソーラーセイルの最も重要な技術の一つであり、本研究チームではそれを実現させるための手段として、セイルの展開部に備えたジンバル機構を利用する(駆動させることでセイルの指向方向、衛星の質量中心位置を変化させられる)制御システムを提案しており、本ミッションで初めて宇宙実証されることとなる。

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お問い合わせ先

東京工業大学 工学院 機械系

中条 俊大 助教

E-mail : chujo.t.aa@m.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3180

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