電気電子系 News

令和2年度 電気学術奨励賞および2020年度学士優秀論文賞を受賞! #6 -小野 凌さん(若林研究室)-

RFスパッタリングによるMoS2サブモノレイヤーの観測

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2021.05.12

今回、電気電子系約100名の中から8名が、特定課題研究に関する優れた論文発表を行いこの賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。

左: 小野 凌さん

左: 小野 凌さん

この研究はどんな内容で、どのように世の中の役に立つことが期待できるのでしょうか?また、特に苦心した点などがあったら教えてください。

私たちの研究室では、現在トランジスタに使われている材料であるシリコンに代わる、次世代材料である二次元半導体に注目しています。私が研究に用いた二次元半導体であるMoS2は、シート構造をしており、1層は原子3個分の高さとなっています。原子3個分(1nm以下)の大きさとは、ウイルス(100nm程度)の大きさよりも小さなものになっています。二次元半導体を実用化することができれば、メガネなどに実装することができる微細デバイスや、電池交換がほとんど必要ない超低消費電力デバイスといった様々なデバイスへの応用が期待されています。このように二次元半導体を使うことで、さらなるトランジスタの微細化、低消費電力化、高速化に貢献することができますが、まだ材料の特性を十分に活かすことのできるデバイスを開発することができていません。この要因は様々なことが考えられますが、要因の1つとして良質な二次元半導体のシートを成膜できないことが考えられます。私は成膜にスパッタ法を用いましたが、スパッタ法でどのように膜が形成されているのかは未だ解明されておらず、他研究機関の報告例もほとんどありません。私は二次元半導体のシート構造が、どのようにスパッタ法で形成されるのかを調べるために、シート1層が完全に形成されていない複数のサンプルを測定しました。1層が形成されていない膜を評価することができるのかという不安はありましたが、実際に研究では膜の結合状態を測定するXPS測定や、内部に働く応力を測定するラマン測定に成功し、それらの結果をもとにした考察を行いました。この研究が発展することにより、スパッタ法による膜の形成理論の確立や、スパッタ法による良質な膜形成に貢献できると考えられます。

受賞の感想

この度は電気学術奨励賞、学士優秀論文賞という2つの賞を頂くことができ、大変光栄に思います。これらの賞は決して1人では頂くことのできなかったものでした。特に2020年度前半はコロナウイルスの影響で入構制限があり、初めての研究室生活で不安がありましたが、その期間で研究の準備を円滑に行い、実験装置の使い方、結果に対する考察を熱心にご議論・ご指導いただいた若林先生、宗田先生、研究室の皆さんに深く感謝いたします。修士課程でも、今回の受賞を励みに研究を一層推進させていこうと思います。

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