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電力エネルギー変換工学 -授業紹介#13-

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2020.03.09

こんにちは、電電HPサポーターズです!
授業紹介シリーズでは電気電子系の特徴的な授業を学生目線で高校生・学士課程1年生向けにわかりやすく紹介します。
今回は『電力エネルギー変換工学』の授業を紹介します!

『電力エネルギー変換工学』担当の小栗先生

『電力エネルギー変換工学』担当の小栗先生

「電力エネルギー変換工学」では、いろいろなエネルギー資源から電力を発生する過程(発電)を中心に学びます。また、その電力を家庭や工場へ届ける過程(送配電)の概要も勉強します。

日本国内で最も発電量の多い火力だけではなく、原子力や再生可能エネルギーなど、様々な発電方式について勉強します。それぞれの発電方式の基本的な動作原理を学んだ上で、最新鋭の発電所における効率の改善について勉強します。また、コストや環境負荷低減のための手法についても知ることができます。

例えば、火力発電の回では、近年の火力発電所に導入されているコンバインドサイクル(CC)について勉強します。CCとは、主な熱サイクルに、その排熱で作動する別の熱サイクルを付加したシステムのことです。燃料を燃やして蒸気を発生し、蒸気タービンを回してそのまま燃焼ガスを捨てるのが従来の発電所です。それに対して、CCでは燃焼ガスでガスタービンを駆動させた後、まだ高温の排気ガスを使って水を沸騰させ、その蒸気で次に蒸気タービンを回すことで排熱を有効利用できるようになりました。それにより、総合効率の大幅な向上が達成されています。主流の発電方式だからこそ、火力発電所においてはCCのような効率改善技術が非常に大事です。

また、CCの中でも最新鋭のMACC(More Advanced Combined Cycle)を導入している天然ガス火力発電所を授業の一環として見学する機会があります。理論上の知識を身につけてから実物を見て、実際に発電所の運転や維持管理に携わっている方の説明を聞くことができるため、理解がさらに深まります。

水力発電の回では、効率を最大化、つまり出口の水のエネルギーを最小化するために設計されている水車の力学を勉強していきます。松留発電所には低落差に適した立軸プロペラ水車、奥只見ダムには大容量発電に適した立軸フランシス水車が使われているなど、国内の水車の事例も教わります。それをきっかけに、本記事の著者である私はダムに興味を持ち、ダム巡りをしてダムカードを集めることを決意しました。

また、発電だけではなく、家のコンセントから電力を取り出すために必要な送配電 技術についても勉強します。地中送電と架空送電のそれぞれの長所、短所や配電線路の方式などについて学ぶことで、送配電技術の実際について理解が深まります。さらに、日本独自の課題である、東日本/西日本間の周波数50 Hz-60 Hz変換が実際どのように行われているかも知ることができます。

この授業を受講することで、発電と送配電に実際どのような技術や工程が含まれているかを詳しく理解できるようになります。これにより、私達の生活に欠かせない電力エネルギーとそれに関連する課題を今までとは違った観点で捉えることができるようになります。
環境保護とエネルギー問題に興味がある学生の方には大変おすすめの授業です。

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