未来

ひとを活かし、地域を活かす「まちづくり」を

山口大学
大学院理工学研究科 准教授

鈴木 春菜 さん

鈴木 春菜さん

現在の仕事について教えてください。
大学で土木計画や交通計画に関する研究・教育活動を行っています。社会やそこに住む人びとの営みが活き活きとするような”まち”や”交通”を考える社会心理学に基づいた基礎的な研究を行うと共に、自治体や企業との協働を通じて実践的な課題にも取り組んでいます。担当の講義では自分の専門よりも幅広い分野を扱うため、日々学び直しながら講義をしています。
山口県は着任するまで縁がなかった土地ですが、地方都市に住むことで、地方都市の大学生の移動格差の問題など、新たな研究のアイディアも多く生まれました。このように自分の気づきや問題意識から研究が生まれ、自身で研究を進め、学生にも伝えていくことができる点が大学で研究することの何よりの魅力だと思います。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
技術は人の幸福に資するためにある、ということ、そして、その幸福が何かを常に考える必要がある、ということを学んだことです。利便性や快適性はそれ自体が事業や研究の目的になることも多いですが、その利便性は、果たして幸福につながるのでしょうか・・・・?幅広い視野でよく考えなければなりません。
学生時代に研究室でのゼミや友人との議論、読書を通じて他者の意見を聞き、自分で考え、研究に取り組むことによって、土木技術と社会の関係をみつめることの面白さを実感できたことが私の研究・教育のモチベーションになっています。
また、職場で学生の指導に迷った時に私自身が学生時代にどう接してもらったかを思い出すことも多いです。
今後の目標を教えてください。
これまで、都市の活力のためには、まちが便利で物質的に豊かであることが優先されてきました。しかし地域の活力には、そこに住む人が活き活きとしているということが不可欠です。そもそも、そのような「人の元気」のために土木技術があるのですし、そのような活力が将来のまちの整備や豊かさにもつながるのではないでしょうか。土木技術が地域の活性化につながるためには、住む人のこころに及ぼす影響を無視することはできないと考えています。
今後も、社会心理学などを援用しながら、人が住む場所に誇りと愛着をもち、活き活きと生活できるような国土・地域・交通とは何か、について研究を進め、実践的な取組と研究を還元し合いながら高めていくことが今後の目標です。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
人を元気にしたい。東工大に入学した時の私の夢です。
土木工学の学びは、まちを元気にすることでその夢に近づく方法を私に示してくれました。
みなさんの夢にも多くのアプローチがひろがっています。
大学生活のいろいろな場面にそのアプローチのヒントが転がっていると思います。
自ら好奇心をもって真摯に行動し、より多くのことを学んでください。

すずき・はるな(愛知県出身)

2001年
東京工業大学 第6類 入学
2005年
東京工業大学 工学部開発システム工学科(土木コース)卒業
2007年
東京工業大学 大学院理工学研究科国際開発工学専攻 修士課程修了
2009年
東京工業大学 大学院理工学研究科土木工学専攻 博士後期課程修了
2009年
日本学術振興会 特別研究員(PD・京都大学)
2010年
山口大学大学院理工学研究科 助教
2012年
山口大学大学院理工学研究科 准教授

※記事の内容は取材当時のものです

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