生命理工学系 News

和地研究室 ―研究室紹介 #22―

細菌の細胞増殖と代謝の制御機構

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2017.01.06

生命理工学系にはライフサイエンスとテクノロジーに関連した様々な研究室があり、基礎科学と工学分野の研究のみならず、医学や薬学、農学等、幅広い分野で最先端の研究が活発に展開されています。

研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、細菌がどのように代謝を行い、増殖するのか、その仕組みの解明を目指す、和地研究室です。

教授 和地正明

生命理工学コース
教授 和地正明別窓

キーワード 細菌の細胞増殖、細菌の代謝、抗生物質
Webサイト 和地研究室別窓

研究紹介

研究対象は細菌です。

細菌は、真核細胞と比べ一般に増殖が早く、代謝が活発です。

これは、発酵などによる有用物質の生産には有利ですが、病原因子としては極めて有害な特徴となります。私たちは、このような細菌の増殖や代謝を人為的に制御することを目指しています。

細菌の増殖の制御を目指した研究としては、新規標的を有する薬剤の探索があげられます。これまでに私たちは、細菌のアクチン様タンパク質MreB阻害剤A22と、ポルフィリン合成阻害剤アラレマイシンを発見しました。

細菌の代謝の制御を目指した研究では、伝統的なアミノ酸発酵生産菌であるコリネ型細菌のグルタミン酸生産機構と、RNase GによるmRNA代謝の制御機構を解析しています。

アクチン様タンパク質MreB阻害剤A22の構造とA22処理した大腸菌

図1. アクチン様タンパク質MreB阻害剤A22の構造とA22処理した大腸菌

永い間、細菌はアクチンのような細胞骨格タンパク質を持たないと考えられてきたが、本研究室で開発した新規抗菌剤A22を使った解析から、細菌にもアクチン様タンパク質が存在し、細菌の細胞形態の維持に機能していることが明らかになった。大腸菌にA22を作用させると桿菌形態が球菌化する。

新規抗生物質アラレマイシンの構造とその生産菌

図2. 新規抗生物質アラレマイシンの構造とその生産菌

2年生の学生実験で土壌より分離した放線菌から、新規抗生物質アラレマイシンを発見した。アラレマイシンはポルフィリン合成系の酵素ポルホビリノーゲン合成酵素を阻害する。一緒に新しい薬を見つけましょう。

グルタミン酸生産菌コリネ型細菌

図3. グルタミン酸生産菌コリネ型細菌

コリネ型細菌Corynebacterium glutamicumはうまみ調味料の主成分グルタミン酸(昆布だしの成分)の生産菌である。菌の分離以来50年以上にわたって、グルタミン酸の排出に関与するタンパク質は不明であった。我々はNCgl1221メカノセンシティブチャネルがグルタミン酸の排出担体であることを発見した。

研究成果

代表論文

  • [1] Yano K, Wachi M, Tsuchida S, Kitazume T, Iwai N. (2015). Degradation of benzotrifluoride via the dioxygenase pathway in Rhodococcus sp. 065240. Biosci. Biotechnol. Biochem., 79:496-504.
  • [2] Uchida M, Hirasawa T, Wachi M. (2014). Characterization of a Corynebacterium glutamicum dnaB mutant that shows temperature-sensitive growth and mini-cell formation. Arch. Microbiol., 196:871-879.
  • [3] Matsuda Y, Itaya H, Kitahara Y, Theresia NM, Kutukova EA, Yomantas YA, Date M, Kikuchi Y, Wachi M. (2014). Double mutation of cell wall proteins CspB and PBP1a increases secretion of the antibody Fab fragment from Corynebacterium glutamicum. Microb. Cell Fact., 13:56.
  • [4] Maeda T, Wachi M. (2013). 3' Untranslated region-dependent degradation of the aceA mRNA, encoding the glyoxylate cycle enzyme isocitrate lyase, by RNase E/G in Corynebacterium glutamicum. Appl. Environ. Microbiol., 78:8753-8761.
  • [5] Heinemann IU, Schulz C, Schubert WD, Heinz DW, Wang YG, Kobayashi Y, Awa Y, Wachi M, Jahn D, Jahn M. (2010). Structure of the heme biosynthetic Pseudomonas aeruginosa porphobilinogen synthase in complex with the antibiotic alaremycin. Antimicrob. Agents Chemother., 54:267-272.
  • [6] Tatsumi R, Wachi M. (2008). TolC-dependent exclusion of porphyrins in Escherichia coli. J. Bacteriol., 190:6228-6233.
  • [7] Nakamura J, Hirano S, Ito H, Wachi M. (2007). Mutations of the Corynebacterium glutamicum NCgl1221 gene, encoding a mechanosensitive channel homolog, induce L-glutamic acid production. Appl. Environ. Microbiol., 73:4491-4498.
  • [8] Kruse T, Blagoev B, Løbner-Olesen A, Wachi M, Sasaki K, Iwai N, Mann M, Gerdes K. (2006). Actin homolog MreB and RNA polymerase interact and are both required for chromosome segregation in Escherichia coli. Genes Dev., 20:113-124.
  • [9] Awa Y, Iwai N, Ueda T, Suzuki K, Asano S, Yamagishi J, Nagai K, Wachi M. (2005). Isolation of a new antibiotic, alaremycin, structurally related to 5-aminolevulinic acid from Streptomyces sp. A012304. Biosci. Biotechnol. Biochem., 69:1721-1725.
  • [10] Takada A, Nagai K, Wachi M. (2005). A decreased level of FtsZ is responsible for inviability of RNase E-deficient cells. Genes Cells, 10:733-741.
  • [11] Gitai Z, Dye NA, Reisenauer A, Wachi M, Shapiro L. (2005). MreB actin-mediated segregation of a specific region of a bacterial chromosome. Cell, 120:329-341.
  • [12] Iwai N, Nagai K, Wachi M. (2002). Novel S-benzylisothiourea compound that induces spherical cells in Escherichia coli probably by acting on a rod-shape-determining protein(s) other than penicillin-binding protein 2. Biosci. Biotechnol. Biochem., 66:2658-2662.

主な日本語総説

  • [1] 川崎寿、和地正明(2012). Corynebacterium glutamicumのグルタミン酸排出チャネルの発見とその有用物質生産への展開、化学と生物、50:441-449.
  • [2] 和地正明(2010). 大腸菌RNase Gによる解糖系の制御、バイオサイエンスとインダストリー、68:34-38.
  • [3] 中村純、和地正明(2008). Corynebacterium glutamicumによるグルタミン酸発酵生産のメカニズム、Food & Food Ingredients Journal of Japan. 213:1103-1109.

教員紹介

和地正明 教授 農学博士

1989年3月 東京大学 大学院農学系研究科 農芸化学専攻 博士課程修了
1989年5月 東京工業大学 生命理工学部 助手
1994年10月 同講師
1997年6月 同助教授(准教授)
2012年4月より 現職
教育活動

学部:微生物学、生物化学第二

大学院:環境微生物学

所属学会
日本農芸化学会、日本生物工学会、日本ゲノム微生物学会(評議員)

教員からのメッセージ

和地教授より

生命とは何か?その謎の解明を目指しています。

一緒に研究しましょう。

お問い合わせ先

教授 和地正明
すずかけ台キャンパスJ2棟 1003号室
E-mail : mwachi@bio.titech.ac.jp

※この内容は掲載日時点の情報です。最新の研究内容については研究室サイト別窓をご覧ください。

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