未来

農家と地域をささえる黒子でありたい

日本工営株式会社
コンサルタント海外事業本部環境事業部地域整備部

生沼 晶子 さん

生沼 晶子さん

現在の仕事について教えてください。
海外農業部門を担う地域整備部に所属し、途上国で過半数を占める農業従事者の生計向上および、食糧の増産・安定供給を目指して「田舎開発」に携わっています。業務内容は農村地域の開発計画(マスタープラン)から、農地の整備、収量増加に向けた栽培指導、整備した水路の維持管理方法指導、収穫した農産物を売るための市場確保までと幅広く、農産物を育てる基盤づくりから販売まで幅広く携わっています。相手国政府の方に農業の国家戦略を提案する一方で、工事業者や農家さんとプロジェクトを具体的に進めていくというように、夢を語るだけではなく、夢の実現に向けた具体的なアクションに携わり責任を持てる点にやりがいを感じています。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
私は学部時代に学んだ農業土木という専門分野を仕事に活かし、仕事として途上国と関わりたいと思いつつも、国際開発に関する素養が不足していることに不安を感じていたため、国際開発に必要な知識を講義や演習で身に付け、専門性を研究で身に付けるというスタイルをとる国際開発工学専攻へ進学しました。国際開発経済論で学んだプロジェクト資金の積算方法は、当たり前のように円借款プロジェクトの見積もりで使用します。また、国際共存論で学んだ「海外の人と働く際に日本の常識は相手国の非常識になる」という考えは普段からとても大切にしています。また、研究活動で養った論理的思考や忍耐力は多様な方々と仕事をする上で大変役立っています。
今後の目標を教えてください。
農村地域の水管理を計画する技術者になりたいです。具体的には河川からどれくらい水を取るのか検討し、それぞれの農地に無駄なく水を配分するように水路を整備し、プロジェクトが終了した後も農家さんやその農村地域を管轄する地方自治体だけで維持管理できるような方法を計画、指導していく仕事です。途上国では水管理がうまくいかず、水路はあるのに水は一度も流れたことはないという話がよくあるそうです。いちから築き上げるのではなく、そこにあるものを活かした提案をし、押しつけのプロジェクトではなく、プロジェクトを利用して農家さんやその農村地域を管轄する地方自治体が主体的に動く土台を築く、黒子のような技術者になりたいです。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
大学時代は、なりたい自分に近づく絶好の機会です。ぜひ後悔のないよう、行動して下さい。私は高校時代、なんとなく食料問題に関心があり、なんとなく海外に憧れていました。その「なんとなく」が講義を聞いたり、様々な人と関わったり、サークルで活動することで少しずつ形になり、現在の仕事に到ります。学びは一生です。社会人になって気付きました。ぜひ受験勉強を通して慣れておいて下さいね。学生生活はとても楽しいですよ!

おいぬま・あきこ(栃木県)

2012年
東京工業大学 大学院理工学研究科国際開発工学専攻 修士課程入学
2014年
東京工業大学 大学院理工学研究科国際開発工学専攻 修士課程修了
2014年
日本工営株式会社 入社

※記事の内容は取材当時のものです

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