物理学系 News&Information

西田研究室 ―研究室紹介 #14―

多様性に潜む普遍性

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2016.11.17

物理学は、自然界に起きるさまざまな現象の中に法則性を見い出し、それを体系化していく学問です。その対象は、素粒子、原子核という極微のスケールから始まり、多彩な構造や性質をもつ原子レベルの物理、さらに我々を取り巻く宇宙まで、あらゆるものを対象にしています。物理学系の研究室では、そのほとんどすべての領域をカバーし、世界をリードする最先端の研究が行われています。

研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、冷却原子を主な対象とした理論物理の研究を行う、西田研究室です。

西田祐介准教授

研究テーマ
理論物理(主に冷却原子における量子多体系や少数系の物理)
Webサイト
西田研究室別窓
研究者詳細情報(STAR Search) - 西田祐介別窓

研究内容

有限温度・密度における量子色力学、BCS-BECクロスオーバーとユニタリーフェルミ気体、エフィモフ効果、有効場の理論と普遍性、物性系におけるトポロジカル現象、場の理論的手法の応用

研究詳細

本研究室では冷却原子を主な対象とする理論物理の研究を行っています。冷却原子とは、レーザーを用いて閉じ込められた百万個程度の原子を、レーザー冷却によってナノケルビンにまで冷却することで、そのような極低温で現れる量子物理の謎に迫ろうとする分野です。

この冷却原子の物理は、1995年のボーズ・アインシュタイン凝縮の実現から始まった比較的若い分野ですが、その後のめまぐるしい技術の進歩により、冷却原子を用いることで

  • 相互作用の強さ(フェッシュバッハ共鳴)
  • 空間次元(光格子による閉じ込め)
  • 粒子の量子統計や成分数、質量比(原子種の選択)

など、系を自由自在にデザインしコントロールできるようになりました。従って、興味のある物理現象を理解するための理想的な環境を冷却原子を用いて実験的に作り出すことができます。

この他分野にはない利点を生かして、冷却原子だけでなく物性物理や素粒子・原子核物理など、分野の垣根を越えて現れる「普遍的」な物理現象への理解を構築し、さらには新しい量子現象を予言・発見することを目指して日々研究に励んでいます。また、冷却原子は現在も世界的に盛んに研究がなされており、今後、基礎科学・応用科学の両面においてますます重要になっていくものと期待しています。

学生に一言

西田先生より

多彩で豊富な話題から研究テーマを選べるのが冷却原子の大きな魅力です。一方で、このことは冷却原子だけでなく、物性物理や素粒子・原子核物理など幅広い物理への興味が求められることも意味します。また、実験との連携も重要です。一つの分野に留まらずに幅広く物理学を学ぶ意欲のある学生諸君と共に研究を行っていきたいと思います。

メンバー紹介

  • 博士課程:安斎貴昭、関野裕太
  • 修士課程:中島拓夫、森瞳美、藤井啓資
  • 卒業研究:木田宣彦、石黒悠里、中田翔

西田先生と学生たち

お問い合わせ先

准教授 西田祐介
E-mail : ynishida@phys.titech.ac.jp

※この内容は掲載日時点の情報です。最新の研究内容については研究室サイト別窓をご覧ください。

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