材料系 News

吉本・松田研究室 ―研究室紹介 #57―

オンリーワン先端エネルギー材料の原子レベルデザインと未来創造

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2017.03.21

材料系では「金属」「有機材料」「無機材料」の3つの分野にフォーカスし、独創的かつ挑戦的な研究・開発を推進しています。

研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、定石に囚われない材料・プロセス創製研究を通じて社会に貢献することを目指す、吉本・松田研究室です。

教授 吉本護 講師 松田晃史

無機材料分野
エネルギーコース・材料コース
研究室:すずかけ台キャンパス・J3棟1619号室、1620号室
教授 吉本護 講師 松田晃史

研究分野 太陽電池 / 無機系熱電材料 / 表面ナノ機能化 / 超伝導・磁気材料
キーワード 太陽電池、熱伝変換、ガラス・ポリマー、レーザー・プラズマ、薄膜ナノプロセス、エネルギーハーベスト(環境発電)、機能性セラミックス・ガラス、半導体・導電性材料
Webサイト 吉本・松田研究室別窓
吉本護 - 研究者詳細情報(STAR Search)別窓
松田晃史 - 研究者詳細情報(STAR Search)別窓

研究目標

ナノ材料ボトムアップ合成

ナノ材料ボトムアップ合成

これからの我々の暮らしには、エレクトロニクスの活用と、安全なエネルギーがますます重要になり、多彩な電子・エネルギー材料がつくるウェアラブル・代替エネルギー・バイオ医療デバイスが支えていきます。そのなかで、ナノサイズの材料はとても大きな役割を果たしており、ユニークな現象がどのように生じるのか、私たちも大きな興味を抱いています。

ナノ・原子スケールの材料や物性を「創り、観察・解析し、メカニズムを考える」ことに注目して、新しい未来の電子・エネルギー材料とプロセスを創り出そうとしています。私たちは、定石に囚われない材料・プロセス創製研究を通じて社会に貢献することを目指しています。

ガラスを使った新しいエネルギー・エレクトロニクス材料

熱電変換:熱/電気エネルギーの直接変換

熱電変換:熱/電気エネルギーの直接変換

車や工場はもちろん、人などあらゆる場所から熱が排出されています。ペルチェ・ゼーベック効果を利用した熱電変換技術は、熱と電気エネルギーを直接変換するデバイスへの応用発展が期待されています。

我々の研究グループでは、熱伝導率が低く、様々な元素を溶かし込むことで機能を制御できるガラスに着目しています。ガラスの組成やプロセスを工夫して、含有元素の価数制御や、ナノ結晶との複合化を行い、ゼーベック係数や導電率をコントロールして、エネルギー・電子材料を創製しています。

ガラスの網目構造と組成・機能制御性

ガラスの網目構造と組成・機能制御性

「塗れる熱電変換素子」の測定

「塗れる熱電変換素子」の測定

自己組織化ナノ周期構造と超機能ポリマー表面を創る原子レベル3Dパターン転写トロニクス材料

原子からナノ周期構造を自発的に構築する自己組織化現象により作られたナノ構造を鋳型にした3Dパターン転写技術(ナノインプリント加工)を発展・応用し、光回折格子ガラスやフォトニック結晶等を作製しています。

また、ガラス表面の原子レベル挙動に関する分子動力学解析(共同研究)や、世界初0.3 nmの原子ステップポリマー基板開発に成功しました。

左:光回折格子となるガラスナノ縞構造(AFM像;3×3 μm) 中:ガラスに階段状の鋳型をプレスした時の分子動力学シミュレーション構造 右:0.3 nm高さの階段を持つ原子ステップアクリル樹脂基板(AFM像;10×10 μm)

左:光回折格子となるガラスナノ縞構造(AFM像;3×3 μm)
中:ガラスに階段状の鋳型をプレスした時の分子動力学シミュレーション構造
右:0.3 nm高さの階段を持つ原子ステップアクリル樹脂基板(AFM像;10×10 μm)

非平衡プロセスによる材料のナノ・原子スケール合成と制御

エレクトロニクス・エネルギーの発展を支える材料は世界中で盛んに研究開発が進められています。なかには、通常の方法では得られないような形態・構造をもつ非平衡・準安定なナノ・原子スケール材料や、特性も未知のものが、まだまだ隠れています。そうした材料を創り、解き明かすことで、持続的な社会の発展に役立ることができます。

単結晶やセラミックス、ポリマーなど様々な物質で創るナノ材料のアスペクト比や結晶配向性による物性制御や量子効果による電子構造・光学特性の変化などの、ユニークな現象の起源に迫る研究を進めています。

レーザーやプラズマなどの非平衡なプロセスも含めて工夫し、結晶の核形成や成長をコントロールすることで、極薄膜やナノワイヤ・ナノドットなど微細スケールの材料を創り、その特性やナノ・原子スケールの挙動の解明にチャレンジしています。

レーザー・プラズマを用いたナノ材料合成プロセス

レーザー・プラズマを用いたナノ材料合成プロセス

左:サファイア基板上に自己組織化した強磁性ナノワイヤ配列(AFM像;1,000×1,000 nm)中:グラフェンの原子スケールパターン(AFM像;2×2 nm)右:単結晶ゼオライトの「かご状」構造(AFM像;6×6 nm)

左:サファイア基板上に自己組織化した強磁性ナノワイヤ配列(AFM像;1,000×1,000 nm)
中:グラフェンの原子スケールパターン(AFM像;2×2 nm)
右:単結晶ゼオライトの「かご状」構造(AFM像;6×6 nm)

研究活動

研究・指導方針

サマーハイキング

サマーハイキング

吉本・松田グループは材料科学と応用をつなぐ境界領域で、材料・化学・物理~電気・電子と幅広いバックグランドを持つ研究者や学生が入り交じって切磋琢磨する環境をつくり、多くのグループと協力して研究を推進しています。材料科学をベースに電気・電子、バイオメディカルなど多彩な分野、世界の様々な場面で活躍する意欲的で、思考力・行動力・語学を含めた理系コミュニケーション能力を備えた人材の育成を目指しています。我々の研究室では目標に向かい研究のPDCAサイクルを上手に回して、レクリエーションとのバランスを大事にしています。

研究のPDCAサイクル

研究のPDCAサイクル

学生の受賞など

  • 日本学術振興会(JSPS)特別研究員採用(2015年、2013年、2012年)
  • 日本セラミックス協会シンポ賞(2015年、2013年)/優秀ポスター賞(2012年)
  • 東工大博士進学エンカレッジ奨学金(2012年)/土肥賞(2011年、2009年)

学会活動

研究に関する理解を深め、成果を社会に還元するために毎年、材料・応用・エネルギー関連の国内学会や国際会議で積極的に発表し、学術論文にまとめています。

頑張った研究成果を日本語・英語でプレゼンテーションして伝える経験は社会に出てからもきっと大きな力と自信になります。

関連学会
日本セラミックス協会、応用物理学会、電気学会、日本熱電学会、米国材料学会(MRS)...

材料系の全研究室を紹介したパンフレットは広報誌ページでご覧いただけます。

お問い合わせ先

教授 吉本護
E-mail : yoshimoto.m.aa@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5388

講師 松田晃史
E-mail : matsuda.a.aa@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5389

※この内容は2016年4月発行の材料系 無機材料分野パンフレットPDFによります。最新の研究内容については各研究室にお問合せください。

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