地球惑星科学系 News

奥住聡准教授が平成28年度東工大挑戦的研究賞を受賞

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2016.09.14

奥住聡准教授が、平成28年度東工大挑戦的研究賞を受賞しました。

奥住准教授の研究は、今回受賞の10名のうち3名に送られる、学長特別賞も受賞しました。

挑戦的研究賞は、本学の若手教員の挑戦的研究の奨励を目的として、世界最先端の研究推進、未踏の分野の開拓、萌芽的研究の革新的展開又は解決が困難とされている重要課題の追求等に果敢に挑戦している独創性豊かな新進気鋭の研究者を表彰するとともに、研究費の支援を行うものです。本賞を受賞した研究者からは、数多くの文部科学大臣表彰受賞者が生まれています。

奥住聡 理学院 准教授

研究課題名:原始惑星系円盤の多重ダストリングにおける微惑星形成過程の解明

奥住聡准教授

奥住聡准教授

近年の天文観測の進展によって、宇宙の星々のまわりには惑星が普遍的に存在することが明らかになっています。これらの惑星や太陽系の惑星は、若い恒星の周囲に広がるガスの円盤(原始惑星系円盤)に含まれる塵や氷の粒(ダスト)を原材料にして形成されたと考えられています。ところが、ダストが惑星を形成するメカニズムの詳細は、多くの謎に包まれています。特に、ダストからキロメートルサイズの固体小天体(微惑星)が作られる過程は最大の謎の1つとされています。

一方、近年チリに建設された最新鋭の電波望遠鏡アルマによって、原始惑星系円盤に含まれるダストの分布の詳細が次第に明らかになってきました。その結果、いくつかの原始惑星系円盤の中では、ダストが一様に広がっているのではなく、恒星を中心とする複数のリング状に分布していることが発見されました。多重リングの存在と惑星形成がどのような関係にあるのかについて、世界的な注目が集まっています。

我々は、ダストの塊の「焼結」と呼ばれる現象が、ダストの多重リング形成を引き起こすという新しい説を提唱しています。焼結とは、固体の粒の塊が加熱されて固まる現象で、原始惑星系円盤の複数の軌道で起こることが指摘されています。我々は最近、この現象を考慮に入れた新しいダスト進化モデルを構築し、焼結の起こる軌道付近にダストが濃集することを数値シミュレーションから明らかにしました。ダストが著しく集中するような軌道では、重力不安定性と呼ばれる現象によって微惑星が形成されることが以前から知られています。そこで本研究課題では、焼結を考慮した我々のダスト進化モデルと重力不安定による微惑星形成モデルを組み合わせ、ダストが多重リング形成を経て微惑星へと進化するまでの過程を、一体的な理論シミュレーションから明らかにすることを目指します。そしてこのようなシミュレーションから、微惑星形成の詳細の解明と最新の天文観測の理解という2つの重要課題に同時に挑戦します。

焼結を考慮した予備的なダスト進化シミュレーションから得られた、原始惑星系円盤のダストの空間分布(左図)と、ダストからの熱放射の模擬観測画像(右図)

焼結を考慮した予備的なダスト進化シミュレーションから得られた、原始惑星系円盤のダストの空間分布(左図)と、ダストからの熱放射の模擬観測画像(右図)

受賞コメント

私共の最新の研究成果を高く評価していただき、大変嬉しく思います。共同研究者の皆様をはじめ、本研究を通じてお世話になっている全ての皆様に感謝いたします。

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