電気電子系 News

七原研究室 ―研究室紹介 #41―

風力・太陽光発電などの再生可能エネルギーと電力システムの協調を目指して

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2016.11.08

電気電子系では、最先端の研究施設と各分野で活躍中の教員の直接指導により、学生でも世界に誇れる研究成果を出し、自分自身で発表することができます。電気電子系には、大きく分けると「回路」「波動・光および通信」「デバイス」「材料・物性」「電力・エネルギー」の5つのグループがあります。各教員はいずれかのグループに所属しており、研究室単位での研究が行われています。

研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、21世紀のエネルギーを拓く電力システム技術の開発を行う、七原研究室です。

教授 七原俊也 助教 河辺賢一

電力・エネルギーグループ
電気電子コース・エネルギーコース
研究室:大岡山キャンパス・南3-619
教授 七原俊也別窓 助教 河辺賢一別窓

研究分野 電力システム工学、電力工学、発電工学(再生可能エネルギー発電)
キーワード 電力システム、風力発電、太陽光発電、スマートグリッド、需給運用・制御、発電出力変動、電力品質、安定性解析、 安定化制御、パワーエレクトロニクス応用機器
Webサイト 七原研究室別窓

主な研究テーマ

2015年4月に開設された当研究室では、太陽光・風力発電が大量に導入された電力システムの安定性を確保する研究、新しい時代に適した電力システムの計画・運用手法の開発や安定性・信頼性の評価などに関する以下の研究を行っています(図1)。

  • 電力システムの解析技術
  • 太陽光・風力発電の電力系統への影響
  • 分散形電源の系統連系技術
  • 蓄電池などスマートグリッド技術の適用

図1 研究の概要

図1 研究の概要

最近の研究成果

大量導入時の再エネ電源の電力系統影響評価

図2 再エネ電源の出力変動が系統周波数に及ぼす影響の評価例

図2 再エネ電源の出力変動が系統周波数に及ぼす影響の評価例

風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギー発電(以下、再エネ電源)は地球温暖化などの面で地球環境に優しいエネルギー源として大きな期待を集めています。一方、再エネ電源は、天気によって発電出力が大きく変動するとともに、発電機として誘導発電機やインバータを用いているため落雷時などにおける挙動が火力発電などの在来型電源とは異なっています。このためこれら再エネ電源が大量に導入された場合に電力系統にどのような影響を及ぼすかを的確に評価することが重要です。

当研究室では、下記のように、再エネ電源が電力系統の安定性や電力品質(周波数、電圧など)、経済性等に及ぼす影響についての解析手法の開発と分析に取り組んでいます。

  • 再エネ電源の出力変動が周波数・電圧におよぼす影響の評価(図2:周波数への影響の評価例)
  • 電力系統事故時における再エネ電源の応動特性の分析
  • 再エネ電源が電源の運用に及ぼす影響の評価

再エネ電源大量導入時の広域系統安定化システムの開発

図3 再エネ大量連系時における広域安定化制御システムの概念図

図3 再エネ大量連系時における広域安定化制御システムの概念図

電力系統における事故(送電線への雷撃等)後の過渡領域で進展する各種不安定現象(同期発電機の脱調、負荷供給系統の電圧低下等)に対する安定性を維持することは、安定的な電力供給のために必要不可欠です。太陽光発電(PV)等のインバータ連系電源は、同期発電機を利用した在来型電源と事故時の出力特性が異なり、大量導入により安定性を損ねる恐れがあります。

当研究室では、再エネ電源連系時における電力系統の安定性維持を目的として、以下の課題に取り組んでいます(図3:制御システムの概要)。

  • 再エネ電源がもつインバータの高速制御性を利用した電圧安定性の安定化システムの開発
  • 広域情報計測システムや系統設置型二次電池を利用した同期安定性の安定化システムの開発
  • 各種制御システムの統合(複数台・複数種類の電力制御機器の協調)

太陽光・風力発電の出力変動特性の分析と変動補償法の開発

図4 太陽光発電での平滑化効果例

図4 太陽光発電での平滑化効果例

太陽光や風力発電の出力は風速や日射強度など天気により大きく変動し、しかもその出力変動を正確に予測することは容易ではありません。また太陽光や風力発電については地域的に分散して設置された場合の出力変動は個々の設備の出力変動よりも小さくなることも知られています(平滑化効果)。一方、近年は蓄電池を用いてその変動補償を行うことが注目されています。

当研究室では太陽光・風力発電の出力変動特性について以下の手法開発や分析とともに、蓄電システムを用いてその変動補償を行うための制御法の開発などに取り組んでいます。

  • 太陽光・風力発電出力の平滑化効果の分析(図4:太陽光発電の平滑化効果の分析例)
  • 大量導入時における太陽光・風力発電の出力変動の大きさの想定手法の開発
  • 出力補償用蓄電池の所要容量の評価と蓄電池の運用上の制約を考慮した蓄電池制御手法の開発

(注)教員2人は、これまで電力中央研究所、東北大学、富山大学などで研究に携わってきました。上記の研究成果はそこでの研究成果を含んでいます。

教員からのメッセージ

七原先生・河辺先生より
電力システムは現代社会の基盤をなす重要なインフラであり、これまでに長い年月をかけて構築されてきました。一方、近年の電力システムを取り巻く状況は、太陽光発電や風力発電の大量導入、発送電分離等の電力自由化の進展など、大きく変わりつつあります。当研究室では、このような状況下での新しい電力システム工学を確立すべく、太陽光発電や風力発電の大量導入の影響とその対策解明を中心課題に据え、研究を進めています。新たな分野の開拓に興味を持つ意欲的な学生が仲間に加わってくれることを期待しています。

電気電子系の全研究室を紹介したパンフレットは広報誌ページでご覧いただけます。

お問い合わせ先

教授 七原俊也
E-mail : nanahara@ee.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2819

※この内容は2016年3月発行の電気電子系パンフレットPDFによります。最新の研究内容については各研究室にお問合せください。

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