応用化学系 News

眞中雄一特定准教授が2019年度石油学会奨励賞を受賞

  • RSS

2020.05.18

公益社団法人石油学会は2月20日、東京工業大学 物質理工学院 応用化学系の眞中雄一准教授(受賞当時。現在は特定准教授)に2019年度の石油学会奨励賞を授与すると発表しました。石油学会によると、奨励賞は「大学等に所属する若手の研究者で、石油、天然ガス及び石油化学に関連する分野において、独創的な業績を発表したもの」に授与されます。40歳未満の研究者が対象です。表彰式は5月25日、石油学会総会で行う予定でしたが、コロナウイルス感染症の情勢を踏まえ延期されました。

受賞テーマ

二酸化炭素とギ酸の効率的相互変換におけるイリジウム錯体触媒の開発

受賞のコメント

今回の受賞について眞中特定准教授は次のようにコメントしています。

眞中雄一特定准教授

この度、石油学会奨励賞をいただき大変光栄に存じます。これまで研究を支えて下さった多くの関係者に心からお礼を申し上げるとともに、深く感謝致します。二酸化炭素の有効活用は、現代社会の喫緊の課題であり、その一助になればと思い、二酸化炭素の化学変換反応に携わってきました。二酸化炭素とギ酸の相互変換反応、ヒドロシリル化反応、尿素化反応などを加速させる触媒の開発を通し、物質循環型社会を触媒の力で構築する夢を描かせていただいたところ、受賞という栄誉にあずかれたことは誠に驚きであり、世の中の期待を感じ身が引き締まる思いです。私の研究は基礎研究の段階であり、社会へ還元するにはまだまだハードルが高いところが多々ありますが、今後も引き続き研究を進め、持続可能な社会を実現したいと思います。

受賞理由(石油学会のウェブサイトから)

眞中氏は、地球温暖化抑制に不可欠な二酸化炭素利用技術の開発に取り組み、特に二酸化炭素とギ酸の相互変換を可能とする高活性イリジウム錯体触媒の開発において優れた業績を挙げた。

二酸化炭素を炭素資源として利用し、効率的に有用基幹物質へと変換することが望まれているが、二酸化炭素は安定な分子であり、その変換には一般に高温、高圧等の厳しい反応条件が必要となることから、より温和な条件で高活性を示す触媒技術の開発が強く望まれている。眞中氏は、二酸化炭素を水素で還元する触媒の開発に取り組み、水溶性イリジウム錯体触媒を用いることで二酸化炭素からギ酸を高選択的に合成できることを見出した。さらに、配位子設計に基づく触媒の最適化を行い、アゾール系配位子を用いることで、既報の触媒系に比べてより温和な条件である常温、低水素圧下で高選択的かつ効率的にギ酸を得ることに成功した。また、当該触媒がギ酸合成の逆反応である二酸化炭素と水素への分解反応にも有効であることを示した。特に、これまでの配位子の官能基効果に加えて環員数を変えることで、触媒活性に大きく寄与する配位子のルイス塩基性を精密制御できることを見出し、これによりギ酸分解反応活性の大幅な向上を達成した。本触媒系では、副生成物である一酸化炭素の発生は見られず、極めて高い選択性を示している。これによって、ギ酸分解による水素発生では、従来困難であった外部動力なしに高圧水素を製造することにも成功している。これら一連のギ酸合成と分解を可能とする高活性イリジウム錯体触媒の開発により、本技術が水素社会の実現に不可欠なエネルギーキャリアへと展開できる可能性を示した。さらに同氏は、二酸化炭素利用技術のさらなる展開として、有用な合成中間体であるギ酸シリルエステルを二酸化炭素とケイ素工業の廃棄物であるシラン化合物から合成する新たな有機分子触媒の開発にも成功している。

以上のように、眞中氏は二酸化炭素とギ酸の相互変換技術において、高活性なイリジウム錯体触媒の開発により二酸化炭素の利用技術に新たな展望を与えており、本研究分野の発展に大きく貢献するものと期待される。

物質理工学院

物質理工学院 ―理学系と工学系、2つの分野を包括―
2016年4月に新たに発足した物質理工学院について紹介します。

物質理工学院別窓

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院別窓

お問い合わせ先

物質理工学院 応用化学系
特定准教授 眞中雄一

E-mail : manaka@mac.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5569

  • RSS

ページのトップへ

CLOSE

※ 東工大の教育に関連するWebサイトの構成です。

CLOSE