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庄子良晃助教、本倉健講師が平成28年度東工大挑戦的研究賞を受賞

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2016.09.08

庄子良晃助教、本倉健講師が、平成28年度東工大挑戦的研究賞を受賞しました。

挑戦的研究賞は、本学の若手教員の挑戦的研究の奨励を目的として、世界最先端の研究推進、未踏の分野の開拓、萌芽的研究の革新的展開又は解決が困難とされている重要課題の追求等に果敢に挑戦している独創性豊かな新進気鋭の研究者を表彰するとともに、研究費の支援を行うものです。本賞を受賞した研究者からは、数多くの文部科学大臣表彰受賞者が生まれています。

庄子良晃 科学技術創成研究院 助教

研究課題名:電子欠損性ホウ素化合物による革新的物質変換および新材料開発

庄子良晃助教

庄子良晃助教

この度は栄誉ある賞と研究支援を賜り、厚くお礼申し上げます。我々は、ホウ素化合物の電子欠損性やホウ素の小さい電気陰性度を最大限に活用した反応活性種の創製や物質変換反応開発に取り組んでいます。

これまでに、ホウ素が結合の手を2本しか持たない「ボリニウムイオン」と呼ばれる超ルイス酸性ホウ素カチオンの単離および大量合成に成功しています。最近、このボリニウムイオンが、カーボンナノチューブなどのナノカーボン類に対して効率的なホールドーパントとして作用し、ナノカーボンの分散性や電導性を顕著に向上させることを見出しました。こうして得られるホールドープナノカーボンは、他のホールドーパントでは実現できないほどに高い大気安定性を示します。この成果は、高機能ナノカーボンに基づくエレクトロニクス材料開発の大きな可能性を拓くものと考えています。

また、ホウ素の全く新しい反応性を見出し、これに基づいてπ共役化合物の新しい簡便合成法を開発しました。本手法により、複雑な3次元骨格をもつπ共役化合物や、巨大なπ共役系をもつ化合物などが極めて簡便に合成できるようになりました。このようなπ共役化合物は、有機エレクトロニクス材料として有望であるとともに、新たなナノカーボンのコンポーネントとしても利用可能です。また、本手法で用いるホウ素化合物が、有機合成用試薬として販売される予定です。

ボリニウムイオンによるナノカーボンのホールドーピング(a) ホウ素化合物を用いたπ共役化合物の新規ワンポット合成法および得られる種々のπ共役化合物(b)

ボリニウムイオンによるナノカーボンのホールドーピング(a)
ホウ素化合物を用いたπ共役化合物の新規ワンポット合成法および得られる種々のπ共役化合物(b)

受賞コメント

上記成果は、福島孝典教授のご指導のもと、多くの学生、技術員の方々との協働により得られたものです。この場を借りて深く感謝いたします。本研究を通じて、機能物質科学への貢献を図るとともに、ホウ素を含む典型元素の化学を深化させることを目指します。

本倉健 物質理工学院  講師

研究課題名:固体表面への触媒活性点集積による新規分子変換反応の開発

本倉健講師

本倉健講師

「触媒」は、化学反応を制御し望みの物質を生産するための、極めて重要な化合物です。我々は、固体表面に触媒活性点を集積することによる、新たな触媒作用の発現・既存の化学反応の高効率化・新反応の発見へ向けて研究を展開しています。固体表面に複数の活性点を固定することで、それら触媒活性点は他の活性点との相互作用が抑制されます。一方で、活性点の間隔を制御することによって、複数の活性点による原料分子の協奏的活性化が可能となります。すなわち、固体表面においてのみ共存可能な活性点による、新しい触媒作用が発現します。

我々のこれまでの研究では、酸・塩基・有機分子・金属カチオン・金属錯体といった様々な触媒活性種が固体表面で共存可能であり、協奏的に触媒反応を促進することを見出してきました。今後は、化学品原料としての使用が切望されている二酸化炭素の変換反応等へ、上述の「活性点集積型触媒」のコンセプトを適用し、新規分子変換反応へ展開していきます。

活性点集積型触媒による反応促進の概念図(a)これまでに開発した活性点集積型触媒の構造の例(b)

活性点集積型触媒による反応促進の概念図(a)

これまでに開発した活性点集積型触媒の構造の例(b)

受賞コメント

受賞にあたり、馬場俊秀先生(本学教授)と共同研究者・研究室メンバーの皆様、特に一緒に研究を推進してくれた本学学生の皆様に厚く御礼を申し上げます。

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