生命理工学系 News

中村・八波研究室 ―研究室紹介 #34―

無限の可能性をもつ極限環境微生物

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2017.03.09

生命理工学系にはライフサイエンスとテクノロジーに関連した様々な研究室があり、基礎科学と工学分野の研究のみならず、医学や薬学、農学等、幅広い分野で最先端の研究が活発に展開されています。

研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、極限環境微生物に由来する酵素(極限酵素)のタンパク質工学による機能向上、ならびに極限環境微生物の代謝工学による有用物質生産をめざした研究を行する、中村・八波研究室です。

教授 中村聡 准教授 八波利恵

生命理工学コース
教授 中村聡別窓 准教授 八波利恵別窓

キーワード タンパク質工学、代謝工学、極限環境微生物、極限酵素
Webサイト 中村・八波研究室別窓

研究紹介

この地球上には、高温・低温、アルカリ性pH・酸性pH、高塩濃度など、通常の生物が生きられそうにない極限環境が存在します。

そのような極限環境に生息する微生物が極限環境微生物です。

極限環境微生物が生産する酵素(極限酵素)は極限環境においても構造を崩すことなく機能することから、洗剤添加用酵素など、すでに産業応用されているものも少なくありません。

私たちの研究室では、種々の極限環境微生物が生産する極限酵素や機能蛋白質を対象とし、遺伝子工学・蛋白質工学・進化分子工学による機能解析や機能向上をめざした研究を行っています。

三角形平板状の形態を有する高度好塩性古細菌の原子間力顕微鏡イメージ

三角形平板状の形態を有する高度好塩性古細菌の原子間力顕微鏡イメージ

研究成果

中村聡 教授

原著論文

  • [1] Yang, Y., Yatsunami, R., Ando, A., Miyoko, N., Fukui, Takaichi, S., Nakamura, S. Complete biosynthetic pathway of the C50 carotenoid bacterioruberin from lycopene in the extremely halophilic archaeon Haloarcula japonica. J. Bacteriol., 197, 1614-1623 (2015).
  • [2] Yatsunami, R., Ando, A., Yang, Y., Takaichi, S., Kohno, M., Matsumura, Y., Ikeda, H., Fukui, T., Nakasone, K., Fujita, N., Sekine, M., T. Takashina, T., Nakamura, S. Identification of carotenoids from the extremely halophilic archaeon Haloarcula japonica. Front. Microbiol., 5, Article 100 (2014).
  • [3] Onodera, M., Yatsunami, R., Tsukimura, W., Fukui, T., Nakasone, K., Takashina, T., Nakamura, S. Gene analysis, expression, and characterization of an intracellular a-amylase from the extremely halophilic archaeon Haloarcula japonica. Biosci. Biotechnol. Biochem. 77, 281-288 (2013)
  • [4] Uni, F., Lee, S., Yatsunami, R., Fukui, T., Nakamura, S. Mutational analysis of a CBM family 5 chitin-binding domain of an alkaline chitinase from Bacillus sp. J813. Biosci. Biotechnol. Biochem. 76, 530-535 (2012)
  • [5] Yazawa, R., Takakura, J., Sakata, T., Ihsanawati, Yatsunami, R., Fukui, T., Kumasaka, T., Tanaka N., Nakamura, S. A calcium-dependent xylan-binding domain of alkaline xylanase from alkaliphilic Bacillus sp. strain 41M-1. Biosci. Bitechnol. Biochem. 75, 379-381 (2011)
  • [6] Tsukimura, W., Watanabe, K., Morokuma, C., Yatsunami, R., Fukui T., Nakamura, S. Improvement of alkaliphily of thermostable GH family 10 xylanase from Thermotoga maritima by directed evolution, J. Jpn. Soc. Extr. 9, 15-18 (2010)

総説・著書

  • [1] 伊藤政博、道久則行、鳴海一成、東端啓貴、為我井秀行、國枝武和、伊藤 隆、佐藤孝子、中村聡、極限環境生命、コロナ社、東京 (2014)
  • [2] Nakamura, S., Nakasone, K., Takashina, T. Genetics and genomics of triangular disc-shaped halophilic archaeon Haloarcula japonica strain TR-1, in Horikoshi, K. (Ed.), Extremophiles Handbook, Springer, Tokyo, pp.363-381 (2011)

(左)極限環境生命 (右)Extremophiles Handbook

八波利恵 准教授

代表論文

  • [1] K. Endo, K. Nagao, K. Toyama, S. Ishida, T. Fukazawa, R. Yatsunami, T. Fukui, X. Xing and S. Nakamura. "Cloning of a chitinase gene from newly isolated alkaliphilic Nocardiopsis sp. strain F96 and extracellular production of the recombinant protein in Escherichia coli" J. Jpn. Soc. Extremophiles, 14, 21-29, 2015.
  • [2] Y. Yang, R. Yatsunami, A. Ando, N. Miyoko,T. Fukui,S. Takaichi,and S. Nakamura. "Complete Biosynthetic Pathway of the C50 Carotenoid Bacterioruberin from Lycopene in the Extremely Halophilic Archaeon Haloarcula japonica" J. Bacteriol., 197(9), 1614-1623, 2015.
  • [3] R. Yatsunami, A. Ando, Y. Yang, S. Takaichi,M. Kohno, Y. Matsumura, H. Ikeda, T. Fukui, K. Nakasone, N. Fujita, M. Sekine, T. Takashina, S. Nakamura, "Identification of carotenoids from the extremely halophilic archaeon Haloarcula japonica" Front. Microbiol., 5, 100-105, 2014,. doi: 10.3389/fmicb.2014.00100
  • [4] T. Tadikara, T. Matsubara, Y. Kubota, T. Kosaka, T. Ozawa, W. Tsukimura, R. Yatsunami, T. Fukui, K. Nakasone, T. Takashina and S. Nakamura "Gene expression and characterization of aerotaxis transducer HemAT from extremely halohilic archaeon Haloarcula japonica TR-1" J. Jpn. Soc. Extremophiles. 12(1), 29-32, 2013
  • [5] M. Onodera, R. Yatsunami, W. Tsukimura, T. Fukui, K. Nakasone, T. Takashina and S. Nakamura "Gene analysis, expression and characterization of an intracellular α-amylase from extremely halophilic archaeon Haloarcula japonica" Biosci. Biotechnol. Biochem., 77 (2), 281-288, 2013.
  • [6] F. Uni, S. Lee, R. Yatsuanmi, T. Fukui and S. Nakamura "Mutational Analysis of a CBM Family 5 Chitin-Binding Domain of an Alkaline Chitinase from Bacillus sp. J813" Biosci. Biotechnol. Biochem., 76 (3), 530-535, 2012.
  • [7] 八波 利恵「高度好塩性古細菌に由来する機能性タンパク質の解析」J. Jpn. Soc. Extremophiles, 10, 17-22, 2011.
  • [8] S. Chen, F. Ye, Y. Chen, Y. Chen, H. Zhao, R. Yatsunami, S. Nakamura, F. Arisaka and X.-H. Xing "Mechanism of the thermal inactivation of a MBP-fused heparinase I: Biochemical investigation and kinetic modeling" Biotechnol. Bioeng., 108, 1841-1851 (2011).
  • [9] R. Yazawa, J. Takakura, T. Sakata, Ihsanawati, R. Yatsunami, T. Fukui, T. Kumasaka, N. Tanaka and S. Nakamura. "A Calcium-Dependent Xylan- Binding Domain of Alkaline Xylanase from Alkaliphilic Bacillus sp. Strain 41M-1" Biosci. Biotechnol. Biochem., 75 (2), 379-381, 2011.

主な総説、解説等

  • [1] 八波 利恵「古細菌のカロテノイド生合成経路」生物工学、93(7), 394-396, 2015.
  • [2] 八波 利恵「極限環境微生物が合成するカロテノイド:バクテリオルベリン」生物工学、90, 738(2012)
  • [3] 八波 利恵、中村 聡、第5編 酵素を操る、第4章 酵素の機能改変-方法論、第1節 部位特異的変異導入法による酵素の機能改変、「酵素利用技術大系」(株)エヌ・ティー・エス、東京、2010, 484-488

教員紹介

中村聡 教授 工学博士

1978年 東京工業大学 工学部化学工学科 卒業
1980年 東京工業大学 大学院理工学研究科 化学工学専攻修士課程 修了
1980年 帝人株式会社 研究員
1990年 東京工業大学 助手
1993年 同助教授
2002年より 現職
1999年 剣道部長
2005 - 2008年 バイオ研究基盤支援総合センター長
2008年 技術部バイオ技術センター 所長
2008 - 2011年 副学長総括補佐
2011 - 2015年 評議員、保健管理センター所長、バイオフロンティアセンター長
2011年より 環境・社会理工学院 技術経営専門職学位課程(旧・大学院イノベーションマネジメント研究科技術経営専攻)(併任)
2015 - 2016年 大学院 生命理工学研究科 副研究科長
2016年より 生命理工学院 副学院長
その他 大学評改革支援・学位授与機構学位審査会審査委員、日本学術振興会 学術システム研究センター研究員、科学技術振興機構 科学技術振興調整費プログラムオフィサーなどを歴任
1992年 1992年度農芸化学奨励賞
1992年 平成21年度バイオインダストリー協会賞(共同受賞)
教育活動

学士課程:遺伝子工学(生命理工学系)

大学院課程:環境微生物学(生命理工学コース)、バイオアカデミックライティング第一(生命理工学コース)、生命系グループ型問題解決演習(情報生命)(生命理工学コース)、人体解剖病態学(生物プロセス専攻)、先端技術とイノベーション(環境・社会理工学院技術経営専門職学位課程)

所属学会
日本化学会(理事、学会誌編集幹事、部会長)、日本農芸化学会(欧文誌編集委員、学会誌企画委員)、バイオインダストリー協会(協会誌編集委員)、触媒学会(研究会世話人代表)、石油学会(部会幹事、分科会長)、キチン・キトサン学会(理事、評議員)、極限環境生物学会(幹事長、評議員、学会誌編集委員)、酵素工学研究会(副会長、幹事)、米国化学会、米国微生物学会

八波利恵 准教授

1993年 長崎大学 工学部工業化学科 卒業
1995年 長崎大学 工学研究科 工業化学専攻 修士課程 修了
1995 - 1996年 艶金興行株式会社 研究員
1997年 東京工業大学 大学院生命理工学研究科 バイオテクノロジー専攻 博士課程 入学
2000年 東京工業大学 大学院生命理工学研究科 バイオテクノロジー専攻 博士課程 修了
2000 - 2001年 日本学術振興会 特別研究員
2001 - 2007年 東京工業大学 大学院生命理工学研究科 助手
2007 - 2015年 東京工業大学 大学院生命理工学研究科 助教
2015年より 現職
2000年 鎌田泉博士論文賞
2001年 手島記念研究賞 博士論文賞
2007年 日本化学会第3回関東支部大会 優秀講演賞
2008年 極限環境生物学会 研究奨励賞
教育活動

学部:生命科学基礎、遺伝子工学(生命理工学系)

大学院課程:環境微生物学(生命理工学コース)、バイオアカデミックライティング第一(生命理工学コース)

所属学会
日本農芸化学会(和文誌編集委員)、極限環境生物学会(幹事、シンポジウム担当)、酵素工学研究会(幹事)、日本化学会、日本カロテノイド研究会、キチン・キトサン学会

教員からのメッセージ

中村教授より

元気で前向きな学生、良い意味で自分自身にプライドをもった学生、他人のことを思いやれる学生、そんな学生に期待しています。

研究テーマに関しては学生の個性を尊重します。

学生個々人が設定した目標を達成するための方策を学生とともに考える、これが私の指導方針です。

学生時代には「モノの考え方」を徹底的に鍛えてください。

八波准教授より

自分で考え、思いきり実験できるのは、学生である今この時です。そして、研究は自分が好きでないと進まないし、うまくいかないと思います。じっくり考え、「これだ!」と思った研究に信念をもち、邁進してください。

お問い合わせ先

教授 中村聡
すずかけ台キャンパス J2・J3棟 907号室
E-mail : snakamur@bio.titech.ac.jp

准教授 八波利恵
すずかけ台キャンパス J2・J3棟 908号室
E-mail : yatsunami.r.aa@m.titech.ac.jp

※この内容は掲載日時点の情報です。最新の研究内容については研究室サイト別窓をご覧ください。

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