未来

毎日ビールと向き合いながら酒類の新たな可能性を切り拓く

キリンビール株式会社
生産本部 岡山工場 醸造エネルギー担当

古川 淳一 さん

古川 淳一さん

現在の仕事について教えてください。
ビール製造工程(醸造)を取りまとめる技術者として、日常の品質管理をはじめ、新商品や新技術の導入など、様々な業務を担当しています。キリンビール株式会社は、年間約180万kL(2014年実績、350ml缶で約51億缶/年)の規模でビール類を製造していますが、おいしいビールをつくるには、原材料の年産による違い、酵母の状態の違い、気温や水温の季節変動などのちょっとした違いを吟味し、五感による評価、化学分析、蓄積した過去の工程データを組み合わせて、各仕込みごとに製造条件を決めなければなりません。1回の仕込みで100kL以上作りますので、責任重大ですが、醸造技術者の腕の見せ所です。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
大学・大学院ではきのこの遺伝子に関する研究をしていました。現在の業務と直接関係する内容ではありませんが、研究活動で培った、「興味を持ち、ゴールを定め、到達するルートを描き、実行する」という一連の取り組み方は、現在の仕事の進め方と全く変わりません。指導教員の先生は、最終的なゴールとリソースを提示し、進め方は私に任せる形でテーマを提供くださり、上記の能力はとても鍛えられました。また、部活やサークルなども含めた学生生活で得た仲間も大きな財産です。今では様々な業界で活躍しており、大いに刺激となっています。優秀なメンバーと切磋琢磨できる環境も、自身の成長に繋がったと思います。
今後の目標を教えてください。
私は、学生時代からビールが好きで、縁あってビールづくりを仕事にできました。今後は、これまで培ってきた、ビールの開発、製造に関わるスキルをベースに、国内外問わず、市場拡大に貢献したり、新たな酒類カテゴリーを創造するような仕事をしたいと思っています。現在の日本の酒類市場は、縮小傾向が何年も続いており、かつ競争の激化によって差別化も難しい状況です。ですが、私は毎日ビールと向き合いながら、ビールやお酒には、まだまだ伝えきれていない魅力や、新たな可能性があると信じています。特にビール、お酒離れが進むといわれる若い人に喜んでもらえるような仕掛けを行いたいですね。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
東工大には、国内トップレベルの研究、設備、同僚や先生などに囲まれた環境があります。ぜひ、他の人には無い、皆さんだけの学生生活をデザインしてみてください。そして、そこからの人生を思い切り自分らしく、描いてみてください。自信を持ってそれを描ける人が、社会に必要とされている、と私は感じています。

ふるかわ・じゅんいち(鹿児島県出身)

2003年
東京工業大学 第7類 入学
2007年
東京工業大学 生命理工学部生命科学科 卒業
2009年
東京工業大学大学院 生命理工学研究科 分子生命科学専攻 修士課程 修了
2009年
キリンビール株式会社 技術開発部 醸造研究所 入社
2014年
キリンビール株式会社 生産本部 岡山工場 醸造エネルギー担当

※記事の内容は取材当時のものです

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